LA:マゼランチェスト修復講演会

ロサンゼルス日本文化センター

J・ポール・ゲティ美術館において英国ロンドン、ヴィクトリア&アルバート美術館所蔵の「マゼランチェスト」が3月3日から5月24日まで「蒔絵の物語―欧州収集家が集めた日本の漆工芸展」として特別展覧会が開催されました。「マゼランチェスト」とは17世紀初頭に京都で製作され、ヨーロッパに渡りフランス貴族のマゼラン家が所有していた蒔絵技術の家具です。家具全体のデザインはヨーロッパスタイルですが表面には源氏物語がデザインされ全て日本の蒔絵技術で加工された重要文化財級の作品です。

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「蒔絵の物語―欧州収集家が集めた日本の漆工芸展」会場前の山下好彦氏

当センターではこの特別展覧会の最終日前日にJ・ポール・ゲティ美術館と共催で南カリフォルニア日米協会100周年事業の一環として日本から「マゼランチェスト」を修復した文化財漆器修復師の山下好彦氏を招き、「日本の漆器の世界とマゼランチェストの修復」についての講演会を行ないました。かつて「マゼランチェスト」は破損が著しかったので2004年からゲティ財団と東芝国際交流財団、国際交流基金(ジャパンファウンデーション)の援助で日英共同の修復研究事業が実現し、山下好彦氏の指導の下、昨年終了したばかりでした。

J・ポール・ゲティ美術館は全米でトップ10に入る集客力のある優れた美術館で、今まで日本美術関連の特別展は行なわれていませんでしたが、日本で製作されたこの「マゼランチェスト」を通し、日本美術を紹介する素晴らしいきっかけとなりました。特別展には8万人以上が訪れ、講演会には120人の聴講者が集まり、盛況なイベントとなりました。

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