トロント:手拭い展~日常生活におけるデザインの粋

トロント日本文化センター


Line-up of "Traditional Design of Edo Period"
『江戸の伝統デザイン』の章

2010年5月26日〜7月30日、トロント日本文化センターが華やかな色彩と洒脱なデザインの日本手拭い220本で埋まりました。期間中の来場者は2千人を超え、高い人気を博しました。

この手拭い展は、当文化センターが独自に立案・制作した企画で、東京の手拭い専門店かまわぬ社の全面的な協力を得て実現たものです。企画から実現までの足掛け4年にわたり、かまわぬ社には、作品の選定・取り寄せから、工具や型紙の貸し出しに至るまで、きめ細かにお付き合いいただきました。

手拭いというシンプルな素材を通じて、日本人の生活に密着したデザインや色彩感覚、そして職人の技などを伝えたい、という思いで出発したこの展覧会。難しい説明よりも、まずは華やかで楽しいものにしよう、との思いで企画しました。


Line-up of "Flowers of Four Seasons"
『四季の花』の章

『四季の花々』、『生き物』、『江戸の伝統デザイン』、『食べ物』の四つのテーマで作品をまとめ、意匠の内容がカナダ人にもわかりやすいように工夫。また、関東注染工業組合制作の、手拭い作製工程紹介ビデオを英語化して会場で上映。「こんなにも手がかかっているものなのか」と感嘆の声を集めました。

さらに、アダチ版画研究所制作の複製浮世絵を展示して、江戸時代、日常生活や歌舞伎の舞台で手拭いがどのように使われているかを示したり、現代の手拭い活用法の実例(本カバー、カトラリー・ケース、ワイン包み等々)を紹介しました。


JFT staff wearing Tenugui in their creative ways.
センター職員も、思い思いに手拭いを身に着けて。

会期中、当センタースタッフやボランティアも、スカーフやアスコット・タイ、ヘアバンドなど思い思いの方法で手拭いを身につけ、手拭いの魅力・可能性をカナダの人々に伝えるように努めました。

日系カナダ人やカナダに移住した日本の方などは、展示された手拭いに触発されて、昔の思い出を語りだすこともありました。それだけ日本人の生活にとって身近な存在だった手拭いですが、それは、カナダ人にとっては、新鮮な色彩感覚と素敵なデザインに満ち、見れば何枚かすぐに欲しくなってしまう身近な魅力を持っていることも、来場者たちの目の輝きからうかがい知ることができました。


Many questions from visitors at the "Living Creatures" section.
『生き物』の章 来場者から盛んに質問が寄せられて。

わずか一尺対三尺の長方形の布の中に、文化交流の可能性がまだまだ秘められていることを実感した「手拭い展」でした。

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