雑誌『をちこち(遠近)』
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ストリートダンサーが見た、ブラジル ~No Borders~

Hilty & Bosch(ストリートダンスユニット)

国際交流基金サンパウロ日本文化センターは、2016年7月に行われた第19回日本祭りにあわせて、日本人ストリートダンスユニットHilty & Bosch(ヒルティ・アンド・ボッシュ)を招へいし、日本祭り会場とサンパウロ美術館(MASP)でダンス公演を開催しました。結成19年目を迎え、これまで30カ国以上でストリートダンス・パフォーマンスを行ってきたHilty & Boschに、今回訪れたファヴェーラ(貧民街)での現地の子供たちとのダンス交流と各会場で行われたダンス公演についてご寄稿いただきました。

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サンパウロ美術館(MASP)で単独公演を行うHilty & Bosch

初訪問、南米「ブラジル」

 「自分達の踊りは、南米の人達に受け入れられるだろうか」。
そんな不安を抱く僕達を待ち受けていたのは、とにかく刺激に満ち溢れた感動の日々でした。

 今回の旅では、「ファヴェーラ地区に住む子供たちとの交流」、「南米随一の規模で開催される日本祭りでのパフォーマンス」、そして、「サンパウロ美術館(MASP)での単独ダンス公演」と、「ダンス」を通じて、沢山の経験をさせて頂きました。

ファヴェーラに住む子供たち

 現地の貧しい地域に住む子供たちとの交流は、実は以前に別のプロジェクトで、カンボジアとラオスに訪問した際にも経験した事がありました。

 カンボジアのスラム街に住む子供たちは、船に乗って帰る僕達を見送るために、みんなで川に飛び込み、帰っていく僕達の姿が見えなくなるまで手を振り続けてくれました。ラオスでは、ダンスを知らなかった子供たちが、みんな笑顔で元気に踊ってくれました。そしてブラジルでは、ショーを観た子供たちが興奮を抑え切れず、自分たちの体にサインが欲しいとねだり、僕たちも生まれて初めて体中にサインを書きました。笑

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子供たちからのサインのリクエストに応じる

 一番印象に残っている事は、「どうすればあなたみたいに踊れるの?」「私にもできる?」という子供たちの質問に対し、「僕達自身がダンスを始めた頃のエピソード」を話した時の事です。僕達自身、ダンスを始めた頃はインターネットも無く、一つのビデオテープを擦り切れるほど見返しては、路上でひたすら二人で練習を重ねていました。そんな話を聞いた子供たちが、「自分も夢を現実に出来るんだ」と話してくれた時、強く胸を打たれました。

 「ダンス」というものにはきっと、人種や言葉の壁、性別や年齢を越えて通じ合える、そんな力があるのだと思います。ダンスを通じて交流をする度に、世界中の人達と繋がれるような、大きな可能性を感じずにはいられません。

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地元のダンサーとともにファヴェーラの子供たちにダンスを披露

来場者16万人のブラジル日本祭り

 南米随一の規模を誇るブラジルの日本祭りは、2日間で来場者数が16万人を超える大きなイベントです。ここでは各日20分間のミニライブを行いました。日本の文化だけでここまで大きなイベントが出来るという事に驚きを感じ、誇らしく思えました。

 きっとそれは、先人の日系の方達の頑張りがブラジルの方達へと届き、それがしっかりと根を張り、ブラジル国内での日本文化への理解が深まったからだろうと思います。

 また今回、日本の文化として「ストリートダンス」が入っていたことは、個人的には凄く意味のあることでした。アメリカで産まれたストリートダンスのカルチャーが、日本で発展し、日本の文化の仲間入りができたことが本当に誇らしかったです。

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ブラジル日本祭りでのダンス公演

地球の反対側で単独公演

 最終日は、今回の旅のメインイベントでもあるサンパウロ美術館(MASP)での単独公演でした。

 公演を通じて感じたことは、その日、その会場には、「観客」「演者」「音楽」が三位一体となったエンターテイメントの真髄が、間違いなくそこにあったという事です。とにかく鳴り止まない歓声とスタンディングオベーションの中、確かな手応えと達成感、そしてダンスが持つ可能性を強く感じた一日でした。

 公演後は、観客だけでなく、現地の記者の方が、「これまで海外アーティストの公演を数多く見てきたけれど、今回ほど盛り上がったショーは初めて見た」と言って下さった事も、自分達の自信へと繋がりました。

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サンパウロ美術館での単独公演

最後に

 「ダンスを続けてきた意味」、「これからの自分達がすべきこと」、これらを改めて認識することの出来た旅でした。これからもHilty & Boschとして、各国でライブや交流を行い、ダンスを通じて世界を繋いでいきたいと思っています。

 ダンスは間違いなく、世界の共通言語です。

 現代の漫画やアニメのように、「ダンス」も日本を代表する文化の一つとなるように、押し上げていきたいと思っています。

 最後になりますが、今回日本から参加してくれたヒューマンビートボクサーのREATMO君にも、心から感謝しています。彼がいなければ今回の成功はありませんでした、本当にありがとうございました。

 これからも、ダンスで世界を繋いでいきます。

No Borders,
Hilty&Bosch

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Hilty & Bosch(ヒルティ アンド ボッシュ)
ストリートダンスユニット。1997年のチーム結成以降、ストリートダンスシーンを牽引し続け、これまでに30ヶ国以上での活動実績を誇る。TOYOTAグローバルキャンペーンCM「Get Going Challenge」を始め、ヨーロッパ・アジアを含む世界各国のメディアへも多数出演。YouTubeでの総再生回数は2,500万回を超える。

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