JF便り<日本語教育編・1号> 「相互理解のための日本語」スタンダードをめざして ~日本語教育スタンダードの構築をめざす国際ラウンドテーブル(第3回)の開催~

日本語事業部
企画調整課
嘉数勝美


2006年3月25日、東京の桜がほころび始めるなか、国内外の日本語教育、言語、および言語政策専門家をパネリストとして、平成17年度第3回目のラウンドテーブルが開催されました。「スタンダード」をテーマとして取り組んだ公開のシンポジウムは、日本では初めての催しといってよいでしょう。

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平成17年度第3回目のラウンドテーブル


言語教育政策における「スタンダード」の整備が重視されてきている欧米諸国や豪州に比して、日本語教育では残念ながら未だそのような「スタンダード」は整備されていません。

ジャパンファウンデーションは「日本語教育スタンダード(仮称)」の構築を重要課題と位置付け、平成17年度5月の第1回ラウンドテーブル以来、基金内外の専門家と活発に議論、検討を重ねてきました。

今回は、「日本語教育スタンダード」構築に関する初めての公開ラウンドテーブルでした。したがって、まずその背景と目的を明らかにし、これまでの検討から「相互理解のための日本語」という理念を視座に据える方向性を得たことを報告しました。それを踏まえ、ドイツ語、フランス語、米国の言語教育政策などの先行事例との対照研究を行った結果、「課題遂行能力」と「異文化理解能力」の重要性に着目した一つの試案を作成し、公開したのです。

当日は年度末、かつ春休みの時期であったにも関わらず、340名余の日本語教育関係者にご参加いただき、国内外の関係機関との連携、学習者の視点を重視した設計、国内における日本語教育への対応へも目配りすべき、といった貴重なご意見もいただきました。
スタンダードの構築は、未だ当日の桜のように3分咲きにも満たない状態ですが、今後、これが満開となるよう本格的に取り組んでいきます。

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