ケルン:出版の街ライプチヒで「現代日本ブックデザイン展」開催

ケルン日本文化会館

2011年は、日本とドイツ(当時はプロイセン王国)が通商修好条約を結んでから150年目の記念年です。1月にはベルリンの日本大使館で、伴野豊(ばんのゆたか)外務副大臣と神余隆博(しんよたかひろ)大使がヴルフ大統領をお迎えして、盛大なオープニング・セレモニーが行われました。セレモニーに続いて金春流の能が上演され、こちらも1,000席が売り切れとなる盛況でした。

ケルン日本文化会館でも今年は多くの記念事業を計画していて、1月から3月まで週2回、小津安二郎監督の21作品を上映します。秋には、黒澤明特集も計画しています。

2月からは珍しい試みとして、ライプチヒの印刷博物館で「現代日本ブックデザイン展」を開催しています(会期は3月27日まで)。ライプチヒはフランクフルト・ブックフェアーと並ぶ図書見本市で有名で、ライプチヒ大学は、日独最初の交換留学制度を京都大学と結んでいます。滝廉太郎もここで作曲を学ぶなど、日本とは縁の深い町です。あまり知られていませんが、戦前から出版の中心地で、「文庫本」というフォーマットはライプチヒの「レクラム文庫」をお手本にしたものと言われています。

東京にも印刷博物館があるので、文化会館が両方の博物館の仲立ちをして、この企画を実現したのですが、東京の印刷博物館でもこうした本格的な海外での展示は初めてとのことでした。全体は、文学、実用書、マンガ/ポップカルチャーなどの8つのテーマに分かれていて、それぞれの分野において過去10年間の優れた装丁のものを100点ほど展示しました。
2月11日のオープニングには、雨の晩だったにもかかわらず200人もの方が集まりました。もちろん、日本語が印刷された世界ですから、物珍しさもあったのでしょうが、本好きのライプチヒの方々はとても喜んでいたようです。

 

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ケルン日本文化会館 上田館長

OpeningCeremony.jpg開幕式

1968年に日本が世界第2の経済大国になると、西側では(かなり意地悪な)日本情報が氾濫しましたが、89年まで閉ざされていた旧東ドイツ地域では、新鮮な日本情報がいまだに不足していて、熱心に見たり聞いたりしてくれます。
外国での書籍展は言葉の壁が懸念されがちですが、日本の素晴らしいブックデザインや高度な印刷技術は賛嘆の的で、繊細だったり大胆だったりするデザインが注目を浴びました。3月末に開かれるブックフェアーまでの期間、いくつかのイベントも合わせて実施します。書道のデモンストレーション、楽しい日本語の紹介、そして芥川賞作家でドイツ在住の多和田葉子さんのトークなどで、盛り上げていく予定です。
主催者側にとって嬉しかった点は、「日本が好きだから」という理由だけでなく、「素晴らしい内容に惹かれて」という理由で来てくださった方がたくさんいらしたことです。今後とも、こうした新たな分野を開拓して、日本に関心を持っていただく多様なきっかけを提供するよう努めていきたいと思っています。

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Exhibition2.jpg展示会場

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