雑誌『をちこち(遠近)』
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東アジア市民としての挑戦―日中韓次世代リーダーフォーラム2010―

守屋 諒
国際交流基金
日本研究・知的交流部 アジア・大洋州チーム


国際交流基金(ジャパンファウンデーション)は、韓国国際交流財団、中華全国青年連合会との共催で、「日中韓次世代リーダーフォーラム」を2002年より実施しており、本年7月、8月に第8回目となるフォーラムを開催しました。

日中韓次世代リーダーフォーラムとは、3カ国の各界(政・官・学・財・ジャーナリスト・NPOの6分野)のリーダー候補者同士が、互いの信頼感を醸成し、長期的なネットワークを構築するために、共通の課題について密度の濃い対話を行う機会をつくることを目的とした、3カ国を巡る合宿形式のプログラムです。主な活動内容は、有識者等によるセミナー、ディスカッション、関係機関への視察、文化行事への参加からなります。


今年度の日程は以下のとおりでした。
・韓国/済州 7月29日(木)~8月1日(日) 
・日本/沖縄  8月 1日(日)~8月5日(木)  
・中国/上海・寧波 8月 5日(木)~8月8日(日)

今年度は、「Vision 2030 for Northeast Asia」という総合テーマの下、各国ごとにサブテーマを設定し(日本「市民社会」、中国「低炭素経済発展」、韓国「安全保障」)、プログラムが構成されました。全18名の参加者が、済州、沖縄、上海・寧波にて、11日におよぶ熱い議論を展開しました。


「市民社会」をテーマとした沖縄での日程は、現地のNPO関係者との意見交換を中心に、仲井眞沖縄県知事への表敬訪問、琉球大学高良倉吉教授による琉球と東アジアの歴史を紐解く講義、沖縄平和祈念館への視察等を行いました。参加者からは、「中国、韓国と沖縄が、こんなにも歴史的、文化的に深い繋がりを持っているとは思わなかった。」「今回の議論を通じて、NPOやNGOという組織に対する各国の認識の違いも浮き彫りになり、これからは『東アジア市民』として皆で何ができるのか、考えていかなければならないですね。」という声が聞かれました。


 参加者同士の関係も、初めはややぎこちない様子でしたが、寝食を共にし、何気ない日常会話を交わしているうちに、忌憚のない意見も飛び交うようになり、中国・寧波で迎えた最終日にはそれまで舌戦を戦わせた後の"戦友"とも言うべき固い絆が感じられるようになってきました。本プログラムには参加者の対象年齢は30歳~45歳なのですが、「この年齢になって、日本、中国、韓国に生涯の友を得られるとは考えてもみなかった。」という嬉しい言葉も聞かれました。


 今年度のフォーラムは無事に全日程を終えましたが、これは同時に新たなスタートでもあります。今回築かれた参加者同士のネットワークを絶やさず、過去の参加者はもちろん、既に各国内に存在する日中韓のリーダー達にも繋げていくこと。そして3か国の参加者たちが感じた"一体感"をより多くの人に感じてもらうこと。長い道のりになるかもしれませんが、それら一つ一つの絆が3か国の連携を更に深め、ゆくゆく、北東アジアの平和と安定の実現に繋がるのだと信じています。そして、それこそがこのプログラムの真髄なのです。

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