雑誌『をちこち(遠近)』
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「NIPPONって何語を話すの?」アメリカでの草の根交流大使

国際交流基金日米センター 

古志歩早

小学校訪問CIMG1757.JPGJOIコーディネーターって、ご存じですか?

 アメリカのなかでも中西部、南部は、日本との交流が比較的少ない地域です。その地域の人々に日本の文化を知ってもらい、理解を深めてもらうために日米センターが派遣しているのが、JOI(ジョイ:Japan Outreach Initiativeコーディネーターです。コーディネーターの任期は2年間。派遣された地域で小学校から大学までの教育機関、図書館、コミュニティセンターなどを訪れ、日本の生活、伝統芸能、日本語など、日本の幅広い文化を紹介します。 これまで派遣されたのは計32です。現在は第8期の5名と第9期の4名が、それぞれの派遣先で活動を行っています。

 盆踊りを教えるSANY0160.JPG

日本文化に接する初めての機会になることも

 1990年代から日系企業がアメリカ中西部・南部に続々と進出し、この地域でも次第に日本に対する関心が高まっています。しかし、西海岸や東海岸では珍しくない日本祭りや日本食レストラン、日本語の授業なども、中西部・南部ではまだまだ少なく、日本との交流が限定されていると言えます。

 小学校訪問(折り紙を教える)CIMG1766.JPGのサムネール画像地域の人々にとっては、JOIコーディネーターが初めて出会う日本人であることもしばしばです。子どもたちにいたっては、「NIPPONってどこ?」「何語を話すの?」など、日本が一つの国だということさえ知らなかったりもします。

 コーディネーターは、主に学校やコミュニティセンターを訪問して、書道や茶道のデモンストレーションをしたり、日本の学生生活や社会問題について授業をしたり、主婦の方に向けて料理教室を開催したりします。また、ときには日本語を教える先生に向けたワークショップを開催したり、企業を訪問して日本のビジネスマナーについて講義をすることもあります。子どもから大人まで、また、日本に関心がある人からまったく知識を持たない人まで、さまざまな人を相手に、毎回テーマや内容を工夫してイベントを行っています。

 

浴衣を着てみるCullowhee+Valley+Kindergarten.jpg自ら考えたアイデアで新しい交流をつくりあげる

 コーディネーターには、人と人をつないだり、新たにものをつくり出したりしていく創意工夫が求められます。そして、それをコーディネートしながら、日本を伝えるための授業やイベントを企画・運営してきます。派遣される場所は多くの場合、日本に関するイベントなどがまったくといってよいほど行われていないところで、地域のネットワークや運営のノウハウはほとんどありません。そのなかで2年の任期終了後も、地域の人々の手で引き続きイベントなどが行われるように地域に日本への接点を増やしていくのです。

 たとえば、日本に関する出前授業やイベントなどを自分で売り込み、授業の一コマなどの機会を提供してもらうなど、自分がふさわしいと考えた活動を行います。教材や資金も限られているので、なかには日本地図やひらがなカードなどを手づくりして持参するコーディネーターもいます。また、ファッションショーや日本祭りを企画して、学校の教師や生徒、図書館司書、そのほかさまざまな地域の方と連絡を取りながら、いっしょになって一つのイベントをつくり上げていきます。

 これが「コーディネーター」といわれる所以で、JOIの活動は決して孤軍奮闘ではなく、周囲の人々と協力してつくり上げていくものなのです。一つ一つの活動は、たった一コマ、わずか数十名に向けたものであるかもしれません。しかし、小さいころに学校で日本人に折り紙を教えてもらった、墨汁と筆で自分の名前を書いたという小さな経験が、日本を知り、親しみを持つきっかけとなり、やがて日本とアメリカの交流を活性化させていくことでしょう。

 

自分の特技や趣味を活かして誰でも応募できる

 JOIコーディネーターは大卒以上であれば、年齢や職歴に関係なく誰でも応募することができます。今まで派遣されたコーディネーターの方々も、日本語教授法や伝統芸能に造詣の深い方ばかりではありません。皆さんそれぞれが自分の特技や趣味を活かして、また現地で情報収集をして、オリジナルの授業、イベントを企画しています。現在活躍中の第8期、第9期コーディネーターも、今ではあちこちの学校やコミュニティからひっぱりだこのようです。

 草の根レベルで日本とアメリカの架け橋となる「草の根交流大使」JOIコーディネーターは、今日もアメリカで奮闘しています。

ソーラン節を教えるCIMG1733.JPG

 

アーカンソー大学フォートスミス校 東日本大震災被災学生短期留学奨学プログラム

日米センターのJOIプログラム第8期生が派遣されているアーカンソー大学フォートスミス校(米国)では、東日本大震災にて被災した、日本の大学、または短期大学に在籍する日本人学生に対して、被災奨学金を提供することを決定いたしました。

  http://www.jpf.go.jp/cgp/index.html

  http://www.uafortsmith.edu/News/Index?skin=&storyid=3012(英語)

 

桜の植樹記念式で「さくら」を合唱sakura.png

JOIプログラムウェブサイト

共催団体 ローラシアン協会のウェブサイト

 


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