雑誌『をちこち(遠近)』
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国際交流基金の関連事業

米国NPOで経験を積んだゲストをお招きして in 広島

日米センター
竹代 明日香

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 国際交流基金日米センター(CGP)は、ひろしまNPOセンターとの共催で、2011年3月4日(金)に、公開シンポジウム「米国NPOの知見を地域に紹介するシンポジウム~地域NPOの未来をさぐる~」を開催しました。
 パネリストとして、NPOフェローシップ・プログラムを通じて米国のNPOで研修を積み、帰国後も日本の非営利セクターの第一線で主導的役割を担っている特定非営利活動法人シーズ=市民活動を支える制度をつくる会(以下、シーズ) コミュニケーション・ディレクターの鈴木歩氏と、社団法人まちづくり国際交流センター理事長の吉田浩巳氏をお迎えし、米国の市民活動の動向報告と、今後の日本の地域社会におけるNPOの資金調達方法(ファンドレイズ)やNPOの運営に関連するテーマについて討議しました。

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NPO公開シンポジウムの成り立ち

  近年、環境問題、災害支援などの幾多の地球課題の解決に向け、政府のみならず市民社会の役割が、益々重要になってきています。1995年に発生した阪神・淡路大震災では、国境という枠を越え、市民の自発的な活動を主導とする、日本や海外のNPO等の民間非営利セクターの活動が欠かせませんでした。こうした市民活動の役割の高まりと共に、それらの活動を支援する、特定非営利活動促進法が1998年に施行されました。
 この社会の流れを受け、「市民社会の役割は社会において不可欠である」、という考えから、「NPOフェローシップ・プログラム」として、日本で非営利組織の活動に従事される方々に、NPOにおいて豊富な経験を有する米国の機関で研修を受け、米国の非営利組織の運営方法を学ぶ機会を提供してきました。1998年度のパイロット事業からスタートして、2007年度の第8期まで延べ37名のフェローを米国に派遣しました。
 日米センターは、「NPOフェローシップ・プログラム」の一環として、NPOフェローの米国での活動や経験などを日本の地域に還元してもらうことを目的に、日本の様々な地域(和歌山市、青森市、上越市など計9ヶ所)で、NPOフェローをパネリストにした公開シンポジウムを実施し、今回は、10ヶ所目の広島市で開催しました。


公開シンポジウム


吉田浩巳さん-1.JPG  「NPO活動を始めた頃の1998年度当時、NPOをPKO(国際連合平和維持活動)のことだと、間違う方が結構いらしたんですよ。」と笑いながら語ったのは、パネリストの一人でもある吉田浩巳氏。その時、会場は、どっと笑いの渦に包まれました。今では、NPOについて認知度が増したものの、数年前まで、NPOは、世の中にまだ浸透していなかった、と述べていたことが印象的でした。

 シンポジウムは、金曜日の18時からという平日の夜にも関わらずNPO関係者、学生、公務員、企業の方など60名程が集まり、NPOに関心を寄せている方が多くいるのなだな、と感じました。シンポジウムの前半では、パネリストのお二方によって、米国での経験や現在の活動について報告がありました。後半では、参加者とのNPOに関する討論が行なわれ、参加者からは、「自治体に寄付をお願いするアプローチの仕方を教えて欲しい」、「費用対効果が見えにくい、人材育成の成果をどのように見れば良いか」等、多くの質問が寄せられ、白熱した議論が交わされました。


鈴木歩さん-1.JPG  鈴木歩氏は、米国での研修機関「ユナイテッド・ウェイ(以下 UW)」で研修を積んだ経験に基づき、「資金調達=エデュケーター(教育者)になることが重要です。NPO団体が地域の課題を解決するためには、我々の活動を多くの人々に理解してもらい参加してもらうこと。お金は、その後についてくる。エデュケーターとは、その理解者を増やす教育者です」と語ってくれました。また、UWの資金調達の仕組みや鈴木さんの所属団体であるシーズで行なっている認定NPO法人に関わる活動についてご紹介いただき、参加者の多くは、熱心に聞き入り、メモを取っている姿が多く見受けられました。

 吉田浩巳氏は、当時勤務していた市役所を辞め、2000年度に「NPOフェローシップ・プログラム」に参加したときの経験や、吉田氏が立ち上げた「まちづくり国際交流センター」を通じての今までの活動について振り返り、語ってくれました。 今でも悩むことはあるが、と前置きし、「日本で食べていけるNPOをつくるためには、積極性と行動力が必要。米国からの帰国後、NPOフェローシップで学んだ経験をもとに、日本国内47都道府県の市町村長にお会いし、我々の活動について紹介した。」そして、「NPOに関しての行動は、質こそが全てであり、受益者にとっての満足を考えること。また、NPOにお金が流れるシステムを作ること」と、解説されました。
  シンポジウム後、参加者からは、「今後もNPOに関するシンポジウムを開催して欲しい」、「シンポジウムやワークショップは、東京で開催されることが多いが、今後も地方での開催を続けて欲しい」、「所属しているNPO団体でも使える話が聴けて大変多くのことを学んだ」、「参加する前は、米国のNPOは、他所の事だと思っていたが、身近に感じた。日本でも使えそうな情報を得る事ができ嬉しい」、「最初は、シンポジウムに関してあまり関心がなかったが、パネリストお二人のお話は大変興味深く、参加して本当に良かった」、などのコメントが寄せられました。


NPOの発展に向けて


  東日本大震災の被災地に向けた義援金活動や支援物資の援助など、ボランティアやNPO・NGOの重要性が益々高まっています。そして、NPOフェローシップに参加した何人かのフェローも、被災地への支援活動を行なっています。 これまで日米センターが架け橋となって取り組んできた活動も被災地の支援の輪として、実を結ぼうとしています。

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