雑誌『をちこち(遠近)』
バックナンバー

バックナンバー一覧

国際交流基金の関連事業

ゼロからの日本語学習と僕の好きな日本のカルチャー【後半】

この記事は前回からの続きです・・・↓

【前】ゼロからの日本語学習と、僕の好きな日本のカルチャー」

       このインタビューは3/8(火)に行われました。

packun2.jpg 日本人とアメリカ人の漫才コンビで知られるパックンマックンのパックンことパトリック・ハーランさんが、自らの日本語勉強体験を紹介。 日本語学習サイト制作者と日本語の学び方のアイデアから日本のポップカルチャーと伝統文化、さらにパトリックさんから見た日本人について語ってくれました。(聞き手:関西国際センター日本語教育専門員 川嶋恵子、日本語国際センター専任講師 赤澤幸) 


◎ 海外で人気がある日本文化は
ズバ抜けた魅力があるから

──パックンが魅力的だと思うp_006.jpg日本のカルチャーは何ですか?
パックン:まぁアニメやマンガはやっぱりすごいなと思う。別に個人的なファンではないけど、情報収集の為には有名なマンガはだいたい全部1巻ずつ読んだんですよ。『ワンピース』とかあと『エヴァンゲリオン』『ドラえもん』『ゴルゴ13』『GTO』『スラムダンク』何でも読むんですけど、それぞれの魅力はよく分かりますよ。 
日本語も面白いし、日本の作家さんやっぱり面白いし。 
鈴木光司さんのホラ-小説とか、福岡伸一さんとか。村上春樹さんは日、英両方読んでます。思うんですけど、日本は非常に、こう、型がきちんとしてる社会じゃないですか、サラリーマン、先生、公務員と。 その中で、すごい色々きちんと決まってる社会の中で敢えて、クリエイティブな仕事をしてる方は結構突出しちゃう事は多いと思うんですよね。 もうズバ抜けた想像力を持ってる方がそういう事をしちゃうんですよね。だからそれで成功するんですよね。p_019.jpgのサムネール画像 海外で人気のあるもの、各フィルターを通して海外にやっとたどり着くものは、さっきも言いましたけど、ズバ抜けた魅力があるからだと思うんですよね。 マンガもアニメも、忍者、侍、禅とかもね。
多分日本全国で禅をやってる人数よりもアメリカで禅をやってる人数の方が多いと思うんですよ。和とかもね、和を保つの「WA」は普通に英語で使ったりするんですよね。これは日本人が和を乱したくないって言っても通じるけど、聞かないでしょ。こういう日本人が忘れがちなというか、別にわざわざ意識しなくても分かるような精神力とか、武術の強さとか、侍スピリッツなども結構アメリカ人は意識してるんですよね。
面白いですよ。アメリカにないものですよね。


◎海外で人気の日本文化を通して
日本語を学ぶ

erintoppage.bmp──そういう日本での生活文化の要素が沢山盛り込まれている「エリンが挑戦!!にほんごできます。*1 というサイトがあるのですが、NHKの語学番組から始まったもので、25課分のスキットがあります。エリンという高校生が日本に半年間留学をするという設定です。
パックン:よくある語学の「こんにちは、初めまして」から始まるのではなく、すぐに自然な感じの日本語で始まりますね。「みんな、よろしく頼むな」なんていう場面は普通の教科書には絶対出てこない。普通は「よろしくお願いします」ですから。
スキットごとにマンガもついているのですね。しかも音が出る。喋るマンガ! すごいね。
 
──インターナショナルスクールの子供たちに1番人気があったのが、ざるそばすすりゲーム。「ずるずる」っと音を立てて食べるゲームが子どもたちにウケました。
パックン:軽く触ってみただけだけど、各サイトの奥深いおもしろさにはびっくりですね。

erinskit1yoroshiku.bmp  erinzarusoba.bmp

──日本の文化だけが知りたいという人には、例えば「これは何?」というクイズがあるのですが、これ分かりますか?女子高生3人がのりみたいなものを出してる写真です。
パックン:懐かしいなぁ。 これパックンマックンが多分2番目に書いたコント。
これで毛が抜けるっていうフレーズがあったんですよ。 
僕がルーズソックスを履いてる設定でね。 もうすたれてネタ使えないんですけどね。
ていうか、本当に変だよね。 なんでのりを塗ってんの素肌に。 

erinsocktouch.bmp──やっぱりパックンもネタにしたようにこれは衝撃的だったんですね。
パックン:うん、本当に不思議です。この商品自体が流行るっていうのが日本独特ですね。
他にも知らないものもあるなあ。これ全部無料なんですね。僕の息子に見せれば、絶対やりますよ。
ちゃんと伝統文化を学びたいという方には生け花を体験できるゲームなんかもあるんですね。 これだけウェブで出来ているものは知らなかった。

──海外の中高生は、日本に来る機会がない子たちが多いので、p_040.jpg自分と同世代の子たちの生活を知りたいと思うのです。普通の教科書には載っていないような日常のひとコマを、世界中どこに居ても身近に見てもらえるように作ってあるのです。
パックン:ウェブサイトならでは、ですねー。15年前に欲しかった!


──今後、学習サイトとしてあったら面白そうな何かアイデアはありますか。
パックン:例えば、音声認識ソフトとかを使えば、もっと楽しいゲームができるかもしれません。
 学習者に飲み屋さんを仕切る役をやってもらって、お客さんから注文を受けてまわって、「はい、喜んで」と言って、奥に「ビール2丁」と注文する。「お会計はこちらです」というと、相手は「はい、1200円です」と答える、それをちゃんと聞き取れるか、切り盛りが全部1人でできるかというゲームですね。
 できれば、芸人編などもつくってもらいたい。漢字の読みなら、「駄洒落」とか「落ち」とか「大取」があるとおもしろいですね。日本の笑いの文化を知ることにもなります。 
 漫才のするどいツッコミを体験してもらってもいい。ボケたあと、正しいツッコミを吹き込みなさいというゲーム(笑)。p_041.jpg「疲れたなぁ。昨日20時間しか寝てないから」。「寝すぎだろー」と答えたら100点だけど、「なんでやねん」だったら60点、「いいねぇ」だったら0点とか。
 そうなると、関西弁が必ず必要になってくるかもしれない。「ほんまかいな」とか、学習者に言わせる。このアイデア、是非使ってください(笑)。



◎パックンから見た
日本が世界に誇れる日本文化


──漫才って立派な日本の文化ですよね。どこの国よりも面白いと思います。
p_004.jpg他には日本のどんなカルチャーが好きですか?

パックン:個人的に良いなと思うのは、機械全般の頭の良さですね、改札口とか、全部早いし。あと、ウォシュレット。あの温かい便座ほど嬉しいものないんですよ、世の中。
──あれは世界に誇れる日本文化ですよね。
パックン:そうなんですよ。僕、日本に来てから1回目のクリスマスはお金がなくてアメリカに帰れなくて2回目のクリスマスはアメリカへ帰ってたんだけど。その時に持って帰った親へのプレゼントはあったか便座ですよ。(笑) 親、超喜んでて。でも電圧がね、アメリカの方がちょっと高いから低温やけどしちゃうんです。。 あと、カラオケめっちゃ好きです。演歌でも日本語覚えましたし。 十八番は「待ってる女」五木ひろしさん。

 あとホスピタリティーですね。 機械でも「お風呂が沸きました」っていう細かい所とか。 
日本文化の基礎にもなってるけど、人の事を尊敬するあの心遣い、マナーの良さ、これはやっぱり日本独特のものというか日本の1番良い所ですよね。 素晴らしい協調性だと思います。

p_063.jpg




packunprofilepic.jpgのサムネール画像

パトリック・ハーラン
米国出身のタレント 通称:パックン。1970年生まれ。米・コロラド州出身。ハーバード大学比較宗教学部卒業後、来日。 日本語能力試験1級。 英語関連のTV番組などに多数出演。 相模女子大学客員教授。 著書に「パックンの中吊り英作文」「トゥースフェアリーの大冒険」などがある。

*1 WEB版「エリンが挑戦!にほんごできます。」  http://erin.ne.jp/
2010年3月に公開された、日本語と日本文化を学べるサイト。
ミニドラマや写真、クイズ、ゲームなどを通して、より自然な日本語での会話や現代の日本の生活を学ぶことができる。現在の日本語版、英語版に加えて、2011年5月より中国語、韓国語、スペイン語、ポルトガル語版も公開予定。テレビ版は、2006年9月から2011年3月までNHK教育テレビで放映。また、NHKワールドを通じた海外での放映に加え、これまでに13の国・地域の放送局で放映されてきた。また、2007年にはDVD教材が出版された。

国際交流基金(ジャパンファウンデーション)ではインターネット学習サイトのほかにも、日本語教育機関への支援、日本語教師や学習者の研修など海外における日本語教育に関する様々な事業を行っております。


Photo by Kenichi Aikawa

Page top▲

Twitter - @Japanfoundation