バンコク:「ポップ」と「クール」

バンコク日本文化センター

何が「ポップ」で、何が「クール」か、定義はむずかしいと思います。あえて、活気に満ちた若い世代の関心事に前者を、麗々しくスーツに身を包んだ大人たちの関心事に後者を当ててみましょう。去る6月30日、35年の歴史をもつバンコク日本文化センターに、「ポップ・カルチャー・コーナー」が開設されました。ここには、毎月日本から最新のJ-POPがDVDで提供され、若者向けのトレンド誌も配備されます。数は限られていますが、映画やアニメを観ることもできます。「ポップ」な話題や情報のもつ力が、その輪を広げつつあるようです。惜しむらくは、図書館の一隅にありますので、一人ひとりがヘッドホーンをかけて視聴することになりますが、しかしその眼差しや後姿からは、静かながらも躍動感が伝わってきて、ほっと胸を撫で下ろしています。

topic_0909_bangkok01.jpg「ポップ・カルチャー・コーナー」

ところで、経済発展に伴ってタイでもさまざまな環境問題が発生し、住民と行政が頭を悩ませています。およそ文化交流とは縁が薄いと思われていたこの分野で、去る8月6日、当センターは、タイ国最高行政裁判所による「環境と行政に関するレクチャー・シリーズ "Learning from Japanese Experiences"」 の開催に協力しました。明治時代の足尾鉱毒事件から、水俣病や交通公害まで、日本が経験してきたさまざまな環境問題をめぐる行政訴訟について、大久保規子・大阪大学教授が、個別的にも、通時的にも詳説し、それらが現在のタイにとっても共時的なものであることを、明解に示唆されていました。居並ぶスーツ姿の判事たちから、これほど「クール」な講演に接したことはないという称賛が聞かれたのは、うれしいことです。9月には、二人の専門家を日本から迎えて、2回目のレクチャーが行なわれます。

topic_0909_bangkok02.jpg「環境と行政に関するレクチャー・シリーズ "Learning from Japanese Experiences"」

「ポップ」と「クール」、その熱は違えども、どちらも身の回りで感じるものなのです。

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