雑誌『をちこち(遠近)』
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JF便り<日本語教育編・12号> 関西国際センターから生まれた新刊教材『日本語ドキドキ体験交流活動集』

熊野七絵 関西国際センター日本語教育専門員


関西国際センターでは、海外で日本語を学んでいる高校生、大学生、成人を対象として、2週間から6週間の短期訪日研修を実施しています。海外で学ぶ学習者たちは、「本で学んだ日本を自分の目で確かめたい!」「日本人と日本語で話してみたい!」といった大きな期待をもって来日します。このようなニーズに応え、また帰国後も日本語を続けて学びたいという意欲をもってくれるよう、これらのコースでは(1)国で学んできた日本語を使ってみること、(2)体験を通じて日本理解を深めること、(3)継続学習のための発見をすることを目的とし、体験や日本人との交流といった活動を中心としたコースデザインを行なってきました。その10年余の蓄積から生まれた教材が『日本語ドキドキ体験交流活動集』。この教材には、学習者が教室の外に出て、日本を体験し、日本人と交流する中で日本語を使うためのさまざまなアイデアを盛り込みました。


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【購入先/お問合せ先:凡人社


◆教材の全体構成
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◆第1部 体験交流活動 ~教室の「ウチ」と「ソト」をつなぐ~
教室外のリソースを活用した11の活動を紹介しています。教室での準備→外での活動→教室でのまとめ、といった一連の流れの中で総合的に日本語を運用できます。また、コーディネートする教師のために活動をスムーズに進めるための活動のコツも盛り込んでいます。

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◆第2部 コースデザイン ~活動中心のコースをつくる~
活動を中心としたコースの場合、評価はどうすればいいのかなどが問題になりますが、この教材では学習者自らが学習目標を立て、日々の活動を記録し、自己評価を行ない、教師がそれを支援するためのノウハウをワークシートとともに紹介しています。また、コースの長さや学習機関の事情に合わせて活動を取り入れる提案として、活動を他の日本語科目と組み合わせた例や、集中日本語コースの中に体験交流活動を部分的に組み入れた例など、5日間から2カ月間のさまざまなタイプのコースのスケジュール例を提示しています。

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◆第3部 Nipponガイド ~PowerPointで日本を紹介する~
活動の前に日本の文化や社会の基礎知識を得るためのガイド資料です。ガイドで興味や問題意識を引き出すことで、学習者が活動により主体的に取り組むことができます。教材紙面だけでなく、付属CDにはクイズや写真・イラスト満載のガイド用PowerPointも入っています。歴史、教育から若者ことばやアニメ・マンガまで、簡単な日本語で楽しく紹介することができます。

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◆体験交流活動型日本語学習の利点
関西国際センターでの実践の中で、体験交流活動を通じた日本語学習には以下のような利点があることがわかりました。
何のために何を学ぶかが明確なため、学習の動機づけが高まり、主体的に取り組める。
教室外の現実場面でタスクを遂行することで、日本語環境における行動力がつく。
各自の日本語レベルに合わせた日本語運用体験ができ、達成感がある。
活動を通じて自らの日本語力を確認し、意識化できる。
教室外の人や社会に触れることで、日本についての理解を深めることができる。
また、学習者にとってはとにかく「楽しい!」というのも魅力です。学習者達は教室の外でドキドキしながらも予想外の力を発揮し、「勉強」という意識なく、多くのことを学び、どんどん主体的に取り組むようになっていきます。

クラスの活性化や動機づけのため、日本国内だけでなく、海外でも在住日本人との交流や日本に関連する施設やリソースなどを使って体験交流活動を取り入れてもらえればと願っています。


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