マドリード:映画『フラガール』が被災地への想いをつないだ

マドリード日本文化センター 上野宏之


2011年3月11日、日本で東日本大震災が発生した後、マドリード市のスペイン映画アカデミー(Academia Española de Cine)から、同市内にあるマドリード日本文化センターに「被災した人々に連帯するための映画上映会を実施したいが、いい映画を推薦してくれないか」という問い合わせがありました。
センターで検討を重ねた結果、数あるスペインの配給会社が持っている日本映画リストの中から「これしかない!」という思いで選んだのが『フラガール』(李相日監督、2006)です。その理由は、激甚被災3県のひとつで原発事故に苦しむ福島県が舞台であること、炭鉱の斜陽化による町の衰退を温泉とフラダンスで乗り越えた実話に基づく作品であることなどでした。こうした映画の内容を説明したところ、スペイン映画アカデミーからも快諾をいただき、4月1日(金)に上映会が行われました。収容人数200人という決して大きくはない場所でしたが会場はほぼ満席で、上映終了後多くの人が、日本の人々の勇気への賞賛の言葉や、被災地へのお見舞いの言葉をかけてくれました。
 映画そのものが与えてくれた感動と、そこに登場する、懸命に日々を生きる福島の人々が、現在大変な困難に直面していることへの思い。そして、スペインの人々が示してくれた暖かい連帯への感謝など、さまざまな気持ちでいっぱいになり、私はしばらく顔を上げられないほどでした。

『フラガール』のスペインでの配給元のCEOは、もともと大変な日本映画のファンで、彼もこの映画会に現れ、「今後この映画を通じて日本の人々へのスペイン人の連帯の気持ちをあらわしていきたい。本社のあるバルセロナでもぜひ上映したい」と熱く語ってくれました。その後、バルセロナのあるカタルーニャ州政府が、4月23日(土)を『日本への連帯の日』と指定し、震災からの復興を祈るさまざまな催しをバルセロナで開催しました。その同じ日にバルセロナのテレビでも『フラガール』は放映されたそうです。

被災地の方々が、この『フラガール』たちのように、幾多の困難を乗り越えて復興の道のりを歩んでいかれることを心よりお祈り申し上げます。私たちセンターのスタッフも、スペインの人々とともに、いつも被災地の方々に想いを寄せています。

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映画「フラガール」の公式ブログ(http://blog.excite.co.jp/hula-girl/

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