JF便り<日本語教育編・18号> 平成21年度海外日本語教師研修(春期)終了! 参加者の声をご紹介します

日本語教育支援部教師研修チーム



日本語国際センターでは、海外で日本語を教える先生方(教師)のための研修を実施しています。研修は、先生方が教えている対象者や、研修期間の長さによって、いくつかの種類に分けられます。毎年50カ国を超える国や地域から500名近い先生方が参加しています。 毎年春には海外の初中等教育機関で教える先生方を対象にした海外日本語教師短期研修(春期)が実施されています。今年も、5月14日から7月2日までの約2カ月間、インドネシア、タイ、ベトナム、マレーシア、スリランカ、グルジア、ロシアの7カ国から28名の先生方がこの研修に参加しました。(うち、ロシアについては日露青年交流センターからの受託事業である『ロシア人若手日本語教師短期研修』として実施しました。)

研修では、先生方の日本語と教授能力の向上と、日本に関する知識を深めることを目的にしています。そのため、日本語や教授法の勉強以外に、日本文化を体験するプログラムも豊富に取り入れています。茶道・書道・折り紙などの教室で体験するものだけでなく、小学校・中学校訪問、大相撲・歌舞伎鑑賞、博物館見学など、センター外での体験も実施しました。研修修了後の4泊5日の研修旅行は希望制でしたが、全員が参加し、京都・奈良・広島を訪れ、過去の遺産に触れる機会を得ました。

以下は研修参加者の声です。(修了式・歓送会のスピーチから一部抜粋しました。氏名標記は姓・名の順です。)


●マンジュラーさん (ゲダラワッタゲー マンジュラー プリヤンディさん/スリランカ/ローヤルカレッジ)、ナーリカーさん (ウィターラナ シャーンティ ナーリカーさん/スリランカ/パーナドゥラバーリカ学校)

jf-edu18_01.png私たちは今までスリランカの高校生に日本語を教えてきました。日本語の文法は私たちの母語に似ているので文法を教えるのはそんなに難しくないのですが、日本の文化や伝統的な習慣や日本人の日常生活について教えるときには本当に困ることがあります。なぜかというと私たちは日本語教師ですが、日本の生活を実際に経験したことがなかったからです。別の国の文化や日常生活などを実際に体験しないまま教科書に書かれている通りに教えるのは本当に難しいことだと思います。

日本に来たばかりのころはこちらの生活に慣れるのはちょっと難しいと感じましたが、友達と先生方のおかげでだんだん慣れてきました。クラスメートはいろいろな国から来た先生ですが、一緒にいるときは1つの家族のように感じました。その気持ちは自分の家族と離れているさびしさを忘れさせてくれました。
日本で過ごした2カ月間の経験は日本語の教師としての能力を伸ばすために大変役立つと思います。

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●ニーさん (グエン ホアン フン ニーさん/ベトナム/レクイドン中学校)

jf-edu18_03.png私は2カ月間このセンターで日本語を学びました。それとともにいろいろな日本文化の活動にも参加いたしました。世界のいろいろな国から来た先生達と一緒に勉強するのはいい経験だと思います。

ここに集まっている私たちはさまざまな国からまいりました。これは国際的な出会いではないでしょうか。多くの国の異文化を理解できるようになりました。時々意見が合わずに論争になったこともありました。しかし、それも今はいい思い出だと思っております。一緒に話したり、笑ったり、なかなか忘れられない思い出です。帰国しても皆の笑顔は忘れられません。

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●リュドミラさん (ミロノワ リュドミラさん/ロシア/シベリア北海道文化センター)

jf-edu18_05.png2カ月という短い期間ではあっても、日本語教師としての日常を離れてもう一度学生時代に戻って、やりたかったけれども、時間と環境の関係からふだんなかなかできなかったことができるチャンスを、今回このようなかたちでいただきました。このような恵まれた環境の中で生活し、勉強できたことはとても楽しい経験でした。

私たち研修参加者は、このセンターで、自分の国と違うさまざまな文化と出会い、いままで歩んできた道以外の道をたくさん発見できたと思います。思うに、日本語の場合、頂上にたどりつく道がなだらかではなく、その歩みは、ちょうど山登りのそれのような気がします。登り始めのときは、山の全体の姿を見ることはできません。始めのころはスイスイと足を運んで登れますが、そのうち斜面がきつくなるのを感じます。努力をつみ重ね「難しい、分からない、うまくいかない」と思いながらも、少しずつ登っていくのが大切なのではないかと思います。あきらめることなく勉強を続け、高いところへたどり着くたびごとに、日本語という山は、それぞれの段階で異なった美しい景色を私たちに見せてくれるでしょう。私たちはそのときの「ドキドキ」する気持ちを楽しみに、これからも日本語の勉強を続けていきたいと願っています。

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