雑誌『をちこち(遠近)』
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二、コラボ会は絶好の「きっかけづくりの場」でもあるんです

立川志の春



立川志の春です。冬の寒さに耐えるために蓄積した脂肪が、春の暖かさとともにダブつき始める、そんな季節の変わり目を迎えております。1ヵ月のご無沙汰でしたが、皆様におかれましてはお変わりありませんでしょうか?

春真っ只中ですね。名前に「春」という字が入っていることもあり、私は大好きな季節です。まずはちょっとだけ落語家らしくなぞかけを。

「花見とかけまして、大相撲と解きます」「その心は?」「関取(席取り)の活躍次第で盛り上がります」――はるっちです。

「現在開催中の大相撲とかけまして、湿布薬で一番大事なことと解きます」「その心は?」
「春場所(貼る場所)」――はるっちで......もういいですね。

そんな大相撲春場所が開催されるのが大阪ですが、私が生まれたのも大阪です。
今でこそ江戸落語を生業としておりますが、八つまでを豊中市で過ごしましたので、私の第一言語は大阪弁です。その後アメリカに移り住んだので第二言語が英語、3年後帰国して千葉県柏市に住むようになってようやく第三言語の標準語に辿りつきました。
ですから現在の私はテニスプレイヤーが、バドミントンを通り越して卓球をやっているようなものです。大変なんです。 ま、それはさておき、私にとって生まれ育った大阪を含めた関西エリアで落語会をやるのは入門以来、一つの目標でした。

その、目標であった関西での初めての会を開催することができたのは、去年のことでした。単独ではなく、二人での会でした。お相手は元劇団四季所属、現在は退団してミュージカル俳優兼作曲家をやっている小島良太氏。私の本名は小島一哲、ということはどういうことかというと......私の弟です。
「立川志の春・小島良太兄弟会」と題して、神戸三宮のチキンジョージという老舗ライブハウスで会をやらせていただきました。落語とミュージカルとトークというプログラム。二人の息子がそれぞれ得体の知れない落語とミュージカルの世界に飛び込むという、サラリーマン家庭を築いてきた両親にとっては気の毒極まりないことになってしまいましたが、兄弟でこのような企画ができたのは嬉しいことでした。

その第2弾として、去る3月8日、西宮市の甲東ホールにて兄弟会を催しました。昔からの知り合いが沢山足を運んでくれた中で、幼稚園時代の先生のお顔を見ることができたのは特に嬉しかったですね~。30年ぶりでしたけど、ちっともお変わりありませんでした。ほとんどちっとも。

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3月8日に開催した兄弟会にて、ミュージカルパートに出演してくれた皆さんと

コラボの会のいいところは、それが「きっかけ」になることです。そのきっかけがなければ生涯落語を聴いてもらえなかったであろう方々に、お目当てのついでに落語も聴いていただけるということです。最初はついででいいんです。つけ合せでいいんです。でも、このつけ合せ悪くないじゃない、今度また出てくればいいな、何なら単体でも食べてみようかしら、と思ってもらえればいいんです。そうこうしているうちに、いつしかメインのおかずに昇格している、ってだんだん何の話をしているのかわからなくなってきましたね。

落語への一方通行だけではなく、逆も然りです。自分が好きなジャンルにも落語をきっかけに興味を持っていただきたい。ですから私は、これまで様々なジャンルの方とコラボイベントをやってきました。すぐに思いつくだけでも、ジャズ、長唄、ジャグリング、和菓子、日本酒、焼き芋、ゴールドディーリング(!)などなど。

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ゴールドフェスタ2014の特別企画「ゴールド落語会」で、貴金属ディーラーの池水雄一氏と対談

ただコラボ企画というのは難しくて、二つのジャンルがバラバラのまま終わってしまうと1+1が1未満にしかならないことが往々にしてあるので、それをどうやって2や3まで持っていくかということを考えます。根底で共通する部分が見つかれば、思いも寄らない化学反応が生まれたりする、それもまたコラボの醍醐味です。

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2013年の第2回「TOKYO⇔EDO」落語会では熱燗とコラボ

今年も色んなジャンルの方とコラボしていく予定です。来月はクラフトビールの企画が二つあります。クラフトビールと落語、一緒に楽しむとお互いに味わいが増す、そんな企画にしたいですね。そして帰り道には満開の桜を愛でる、なんて。
ちょっと興味あるな、という方は是非、会場まで! お待ちしております。

でなければまた来月、こちらでお会いしましょう~。くれぐれもお花見に行ったらビールばっかり飲んでないで、少しはお花を見てくださいね~。





shinoharu00.jpg立川志の春(たてかわ しのはる)
落語家。1976年大阪府生まれ、千葉県柏市育ち。米国イェール大学を卒業後、'99年に三井物産に入社。社会人3年目に偶然、立川志の輔の高座を目にして衝撃を受け、半年にわたる熟慮の末に落語家への転身を決意。志の輔に入門を直訴して一旦は断られるも、会社を退職して再び弟子入りを懇願し、2002年10月に志の輔門下への入門を許され3番弟子に。'11年1月、二つ目昇進。古典落語、新作落語、英語落語を演じ、シンガポールでの海外公演も行う。'13年度『にっかん飛切落語会』奨励賞を受賞。著書に『誰でも笑える英語落語』(新潮社)、『あなたのプレゼンに「まくら」はあるか? 落語に学ぶ仕事のヒント』(星海社新書)がある。最新刊は『自分を壊す勇気』(クロスメディア・パブリッシング)。


*公演情報は公式サイトにて。
立川志の春公式サイト http://shinoharu.com/
立川志の春のブログ  http://ameblo.jp/tatekawashinoharu/




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