ニューデリー:ボリウッドという巨大映画産業を擁する世界有数の映画大国インド、このインドで日本映画に対する関心が高まっている。

ニューデリー日本文化センター

topic_0710_delhi.jpg7月に開催されたアジア・アラブ映画祭(シネファン主催)では、フォーカスオンジャパンと題して、溝口健二監督作品の回顧上映が行なわれたほか、昨年一昨年に制作された新しい作品が六本上映された。なかでも、弁士付で上映された『滝の白糸』は満員の観衆からスタンディング・オベーションを受けるなど、今インドでは日本映画が注目を集めている。
今回の映画祭は、そうしたインドの映画ファンの期待にこたえて、日本映画の様々な魅力を味わってもらおうということで、最近日本でヒットした作品を三本上映するとともに、日本映画史上不朽の名作『東京物語』と、東京オリンピック直前の日本を舞台としたインド映画『Love in Tokyo』の回顧上映を行なった。 映画祭の皮切りは『ドラえもん のび太と恐竜2006』、ドラえもんはインドではテレビ放映もされており、既におなじみの存在。日本人学校と提携校のインド人生徒、その家族たちを中心に会場は熱気に溢れ、ドラえもんたちのピンチの場面では息を詰め、活躍には拍手を送り、日本人もインド人も同じシーンに笑い、涙し、まさに映画に国境がないことを思い知らされた。
続いて上映されたのが2006年キネマ旬報ベストワンに選ばれた『フラガール』。前年のベストワン作品がインドで上映されるというのは、かつてないことで、映画評論家も数多く来場、映画ファンの注目を集めた。ストーリーもインドの観客に好まれるものであり、多くの観客が現代日本映画の魅力を堪能した。

そして今回の映画祭の目玉とも言うべき『Always~三丁目の夕日』は、折からインド訪問中の安部前総理夫人が上映開始前に舞台挨拶を行ない、この映画の魅力について語ったこともあって、上映終了後は口々に感動と感謝の言葉を述べる観客多数。インドの映画ファンへの格好のプレゼントとなった。

『東京物語』と『Love in Tokyo』には、オールドファンを中心に多数の観客が来場し、映画祭は成功裏に幕を閉じた。 今後とも、新作と古典とを問わず、様々な日本映画作品をインドで上映し、インドの映画ファンの期待に応えていきたい。

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