雑誌『をちこち(遠近)』
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ブダペスト:紙が織り成す小世界 - 岡本由梨展覧会 「オウムと詩人」

ブダペスト日本文化センター

普段は日本語講座の受講生でにぎわうブダペスト日本文化センターも、講座が休みとなる夏は静かになります。そんな事務所のセミナー室を活用し、約2カ月にわたり、フランス在住の芸術家岡本由梨さんの作品展「オウムと詩人」を開催しました。

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岡本さんは、フランス在住中に日本の紙の美しさに惹かれて創作活動を始め、およそ25年にわたって「紙」の素材の可能性を追い続けてきた「紙の芸術家」です。中でも、「コフレ・ド・イマージュ(イメージの小箱)」シリーズは、紙の小箱を展開するとその中に「サーカス」「居酒屋」「東京の街角」等の世界が現れ、見る者にまるでびっくり箱を開けた時のような驚きや喜びを与えてくれます。このシリーズは、正方形の紙から様々な立体を作り上げる日本の折り紙の伝統にヒントを得て岡本さんが作り上げた、大変独創的なものです。展覧会タイトルの「オウムと詩人」も、このシリーズの一作品です。

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今回の展覧会では、このシリーズを中心に、計17点を展示しました。これらはすべて、岡本さんが物心ついてから現在に至るまで、その日常の中で拾い上げた印象や感動、空想やスケッチなどを通して創造された世界なのですが、日本で生まれ育ち、そしてハンガリーとも少なからぬ縁を持つ岡本さんの描く世界は、日本人にとってもハンガリー人にとってもどこか懐かしく、また温かみを感じさせるものです。見学者からは、作品が持つそうした味わいを評価する声や「小さな作品から日本について多くのことを知ることが出来た」といった感想とともに、紙以外の素材は用いず、紙の持つ質感や色をそのまま生かして表現された岡本さんの作品の非常に繊細な細工にも、感嘆の声が多く寄せられました。

岡本さんの作品を通し、日本の「紙」の持つ伝統と可能性を紹介し、そして日本とハンガリーの人々を結びつける、心温まる夏の展覧会となりました。

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