ハノイ:「いわさきちひろ絵本展」の開催について

ベトナム日本文化交流センター

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ベトナム日本文化交流センターでは、改装後、装いを新たにしたばかりのイベントスペースを使って「いわさきちひろ絵本展」(4月28日から5月22日)を開催しました。

この企画は、センターがいわさきちひろ氏(1918年-1974年)の絵本103冊を2008年10月にちひろ美術館から寄贈されたことをきっかけにうまれました。晩年ベトナム戦争で傷つく子どもたちに強い想いを寄せ、ベトナムを題材とする2冊の絵本を1970年代に出版していたいわさきちひろ氏の作品世界を紹介するため、これらの絵本とともに同氏の作品の精密複製画「ピエゾグラフ」35点を展示したものです。

また、本展では「絵本」をトピックとした日越交流を目的として、ギャラリートーク「絵本の世界‐日本とベトナム‐」をオープニングに合わせて開催しました。ベトナム人初の「ACCU野間絵本原画展コンクール」入賞者であるタ・フイ・ロン氏と、日本からお越しいただいた安曇野ちひろ美術館副館長の竹迫祐子氏のおふたりを講演者として、「自国における絵本出版の現状や絵本とは?」というテーマでトークセッションを行いました。

現地の参加者からは「絵本(挿絵)というものに対する概念が変わった」などの意見が多く出されたほか、トーク終了後には当地の出版社から日本の絵本の現地出版に関する相談がもちかけられたり、「世界の絵本」コレクションを持つちひろ美術館とベトナム側講演者のロン氏との間に新たなつながりがうまれるなど、ベトナムではまだマイナーといわれる絵本業界と日本とのネットワーク構築や発展につながる機会とすることができました。

また、展示会場についても、ちひろ美術館の専門家によるきめ細かな作品陳列のほか、雰囲気を重視しソファを置いて絵本を見やすくするなど温かみのある展示方法が好評で、家族連れの来場が目立つ催しとなりました。

日メコン交流年にあたる今年、ここベトナムでは、ホイアン日本祭り、カントー市文化観光イベント、日本映画祭、東南アジア日本研究学会など、さまざまな分野での事業が各地で開催されます。今年で開設2年目を迎えるベトナム日本文化交流センターは、さらに活動の幅を広げ、さまざまなかたちで事業を積極的に実施していきたいと思っています。

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