カイロ:日本映画祭「Hiroshima」

ヒロシマ、ナガサキ、という地名はエジプトでも多くの人が知っています。しかし、そこで何か起こったのかを詳しく知る人はほとんどいません。世界では今、非核化の気運が高まっています。唯一の被爆国として日本の経験を伝えることで、核兵器の無い平和な世界を目指す一助になればと願い、広島への原爆投下65年目にあたる2010年の10月、日本映画祭「Hiroshima」を開催しました。

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『黒い雨』、『夕凪の街 桜の国』、『原爆の子』など国際交流基金所蔵の原爆をテーマにした映画を特集し、初日にはチェルノブイリ原発事故を取材した経験を持つエジプト人作家のムハンマド・マフザンギー氏の講演を行いました。

また、映画祭に先立ち、被爆前の広島の爆心地をコンピューターグラフィックス(CG)で再現し、被爆者の証言やメッセージを盛り込んだ映画を作成した広島在住の映像作家・田邊雅章さんの映画上映と講演会を開催しました。生家が広島県産業奨励館(原爆ドームの前身)の隣にあった田邊さんは、原爆投下直後の爆心地に足を踏み入れています。「再びヒロシマを繰り返してはならない」という強い意志のもと、13年の歳月をかけ爆心地復元事業を完成し、今回は日本政府の非核特使に任命されての来訪となりました。

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講演会当日は急遽増席する必要があったほど、田邊さんのお話を聞くために200名を超える聴衆が集まりました。ほとんどの参加者にとって、初めて聞く原爆の実体験だったと思います。「この悲劇を繰り返さないため自分に何が出来るか考えたい」という参加者の感想が示すとおり、ひとりひとりが真剣な表情で田邊さんのお話に耳を傾けました。核兵器の無い平和な世界について考える機会になったことを願うと同時に、今後もこのような取り組みを続けていきたいと考えています。

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