雑誌『をちこち(遠近)』
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私が日本語を勉強する理由 -ケヴィン・レイノルズ-

国際交流基金(ジャパンファウンデーション)と日本国際教育支援協会は、日本語を母語としない人ひとたちの日本語能力を測定し認定する、日本語能力試験(以下、JLPT)を実施しています。
JLPTのN2※を2016年12月に取得した、カナダ人フィギュアスケーターのケヴィン・レイノルズさん。2017年4月に来日した際に、ケヴィンさんがどんなふうに日本と出会い、日本語を勉強するようになったのか、その理由を聞きました。

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2017年4月29日、国際交流基金ライブラリーにて

ビデオゲームやアニメを通して、日本に出会う

-日本との出会いを教えてください。

ケヴィン:子どもの頃からビデオゲームで遊んだり、アニメを観たりしていました。そして、フィギュアスケートというスポーツを通しても、日本の文化に触れる機会がたくさんありました。そんな風に自然と、日本や日本の文化を自分の中に取り込んでいきました。

-日本語を勉強していて、日本の魅力をどのように感じますか。

ケヴィン:カナダと日本の文化はかなり違っていて、その違いが面白くて魅力ですね。言語自体にも文化の違いを感じます。そういった異なる文化の言語でコミュニケーションできるということはとても面白いです。

-ケヴィンさんが日本語を勉強するときに大切にしていることは?

ケヴィン:日本語を勉強するときには、日本の文化を理解するだけではなく、言語自体を理解すること、そして日本語で物事を考えるようにしています。勉強し始めた頃は、英語でまず自分の言いたいことをまとめて、それを頭の中で日本語に翻訳していました。だんだん語彙も増えて、自然に会話が出来るようになってくると、日本語で物事を考えられるようになります。そうするとより自然に相手とコミュニケーションが取れるようになると思います。

-日本語が難しいと感じるのは、どんな時ですか?

ケヴィン:たくさんありますが、特に漢字の読みです。着実に語彙も増え、文法も理解して、語学力は伸びているのですが、漢字が持つニュアンスを理解したり、漢字を100パーセント正しく読めるようになるには時間がかかります。かなりの集中力も必要です。

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繰り返し漢字の練習をするケヴィンさん

-日本語の力がついたなと思う瞬間はありますか?

ケヴィン:それは今回の来日ですね。前回、3年前に来たときも日本の方々が言っていることはかなり理解できましたが、必ずしもしっかりと意思疎通が出来ていたわけではありませんでした。でも大学で日本語の授業を受け始めてから、驚くほど変わりました。

今回、日本語で自然な日常会話ができるようになっていたことは、嬉しい驚きでした。3年前に日本に来たときは皆さんが言っていることは理解できても、必ずしも自分が思うようにはコミュニケーションが取れなかったからです。ですから、とても嬉しいです。

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今回の来日では、弟さんと浅草など様々なスポットを訪問。日本語でコミュニケーションを取る機会が数多くありました。

日本語能力試験(JLPT)について

-2016年にJLPTのN2を取得されましたが、試験はどうでしたか?

ケヴィン:12月に受けたのはN2でした。今までN5からN2まで受けてきましたが、その中で一番難しいテストでした。前のレベルよりも難易度が上がるので、かなり不安でしたが、悪くない結果を残せたので嬉しいです。

-JLPTの果たす役割をどう思いますか?

私にとって一番大切なことは、ファンの方々をはじめ、日本人の皆さんとコミュニケーションが取れることですが、日本語能力試験は、日本語レベルの指標としての役割を果たしていると思います。つまり、どれくらい上達したかだけではなく、自分がどんなレベルであるかを正確に知ることができます。テストを受けることによって、自分のレベルと、どうすればさらに上達するのかが分かるのです。

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失敗してもドンマイ 大切なのは頑張るということ

-日本とこの先どのような交流をしていきたいですか?

ケヴィン:まず、日本の皆さんとの言語の壁をなくすことからはじめたいです。私が日本のファンとコミュニケーションをとり、彼らが私とコミュニケーションをとる。日本との交流を、将来はフィギュアスケートのコーチとして、あるいは現在大学で勉強している国際関係の分野において続けていきたいと思います。そういうふうに、日本語を学ぶことを通じて、カナダと日本の架け橋になりたいと思っています。

-日本のスケート選手との交流について、何かエピソードはありますか?

ケヴィン:フィギュアスケートのショーに出演するために来日した時、はじめて浅田真央さんとお話したと思います。そこで日本の人達が何を言っているのか理解することが出来てとても嬉しかったのですが、当時は日本語で話そうとするとまだ言葉に詰まっていました。それを乗り越えるきっかけは、今年2月に韓国で行なわれた四大陸選手権です。短い時間でしたが、多くの日本人スケーターたちと日本語で自然に話すことが出来て、本当にとても嬉しかったですし、日本語の勉強を続けていくためのモチベーションになりました。

-日本語を勉強している皆さんへ、メッセージをお願いします。

ケヴィン:間違えても落ち込まず、勉強を続けてください。そうすれば経験の中から様々なことを学ぶことが出来るし、世界中の人と話して、文化と文化の架け橋になれば、楽しい未来が待っていますよ。

日本語を勉強している方々に対して、失敗してもドンマイ。大切なのは頑張るということです。

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国際交流基金本部オフィス前で

※N2とは、日常場面で使われる日本語に加えて、新聞や雑誌の記事・解説やテレビのニュースなど、論理が明快な日本語を理解できるレベル

kevin_reynolds_08.jpg ケヴィン・レイノルズ
1990年7月23日生まれのカナダ人フィギュアスケーター。2013年の四大陸選手権で優勝、2014年ソチ五輪団体銀メダリスト。2017年シーズンのスケートカナダでは、3位表彰台を飾る。2016年12月日本語能力試験N2を取得し、現在は試験最高レベルのN1の取得に向けて勉強中。

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