雑誌『をちこち(遠近)』
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日本語力を生かして活動する外国人に聞いた!
日本語を学び始めたきっかけ、学習法は? 日本語の魅力とは?
【前半】

マーティ・フリードマン(ミュージシャン)
カロリン・エックハルト(漫画家)
ジェーニャ(声優)

アニメ、漫画、J-POPをはじめとする日本のポップカルチャーが世界で注目を集め、それに伴い「日本語」への関心も高まっています。国際交流基金が世界各国の日本語教育機関を対象に実施した「2015年度日本語教育機関調査」の結果が間もなく発表される予定ですが、2012年度調査の時点ですでに、世界には400万人近い日本語学習者が! テレビやラジオ、インターネットなどで独習している人も含めると、日本語学習者の数はさらに多いことが予想されます。では、海外の人は何をきっかけに、どのような方法で日本語を学習するのでしょう。また、日本語に対する印象とは? それを知るべく『をちこちMagazine』は、日本語に堪能なミュージシャンのマーティ・フリードマンさん(アメリカ人)、漫画家のカロリン・エックハルトさん(ドイツ人)、声優のジェーニャさん(ロシア人)に、自身の日本語学習法や日本語に惹かれる理由などを聞いてみました。

日本のカルチャーに惹かれ、「日本語を覚えたい!」との意欲が

まるで母語のように日本語をメイン言語として使いこなし、それぞれミュージシャン、漫画家、声優として活動している3人。日本あるいは日本語に関心を持ったのはいつで、そのきっかけは何だったのでしょう。

マーティ・フリードマンさんはJ-POPに強く惹かれるあまり日本の音楽シーンに身を置く決断をし、2003年に日本に移住しました。ただし、日本語を覚えようと思い立ったのは、それよりかなり以前。インディーズバンドのギタリストとしてライブで初来日した1980年代後半のことです。

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世界的なギタリストとして活躍していたマーティさんが日本に移住してすでに13年。

「僕は1980年代の前半にハワイに住んでいて、日系人向けのテレビやラジオ放送を通じて邦楽に興味を持ちました。来日して日本の音楽シーンに直に関わったことで興味がさらに深まり、『日本はたまらなく面白そうなところだ』と確信。同時に、少しくらい日本語がわからないとソンだと思いました。それが日本語を覚えようという気になったきっかけです」

2012年に日本で漫画家としてデビューを果たしたカロリン・エックハルトさんにとって、日本に興味を持つ入口となったのは小学生時代にテレビで見た『美少女戦士セーラームーン』。ただし、当時は日本のアニメであることを知らなかったそうです。

「アニメのセーラームーンがドイツでヒットし、間もなくして単行本のドイツ語訳が発売されました。それを手にして初めて、日本の漫画だと気づいたんです。その後、日本のさまざまな漫画を読み、ジャンルの豊富さとストーリーの面白さに惹かれてすっかりファンに。ドイツ人の私にも感情移入ができるので、ハマらずにはいられない。漫画に描かれている町並みや服装、食べ物も未知のものばかりで、読むたびに魅了されました」

現在、日本で声優として活躍するジェーニャさんも、16歳の時にテレビで『美少女戦士セーラームーン』を見て日本の文化と言語に惹きつけられたといいます。

「ロシアでは吹き替えではなく、番組の原音にロシア語を重ねるボイスオーバーで放送されていたので、日本語のセリフも耳に入ってきました。それを聞きながら、日本語の響きはなんてきれいでかわいいんだろう、と。とても魅力を感じ、『いつか日本語を話せるようになりたい』という気持ちが生まれたんです」

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ジェーニャさんは現在、声優に留まらず歌手、タレントとしても活動。

その思いは揺るがず、ジェーニャさんは大学生時代に日本語の勉強を始めます。

「大学で日本語を専攻したわけではなく、地元のノボシビルスク市にある『シベリア・北海道文化センター』の日本語コースで学びました。週1回、90分のグループレッスンです。大学が忙しくて行けない時もあったけれど、トータルで3年間通いました。そして大学を卒業後、ネイティブと同じ発音で話せるようになりたければ日本に住むしかないと決断。11年前の2005年に日本に引っ越してきました」

小学生の時に日本の漫画に夢中になったカロリンさんは、早くも13歳で日本語学習をスタート。同じ中学に通う漫画好きのクラスメイトに誘われ、家の近くにできた日本語教室に通います。

「日本人の先生から日本語の基礎を教わりました。そうするうちに『日本語をもっと勉強したい、日本をもっと知りたい』と思うようになったんです。そこで17歳の時に札幌の高校に1年間留学し、ホームステイで日本の生活も体験。留学生を対象にした授業で日本語の文法、漢字、作文などを学び、さらに学校の友達やホストファミリーとの交流を通して日本の文化、アクティビティ、慣習を知ることができました。
留学後、帰国してドイツの高校を卒業しましたが、20歳の時に大好きな札幌に移り住み、漫画家を目指して専門学校へ。それからは日常生活の中で日本語を吸収することに励みました。気になる言葉はすぐに調べ、文法がわからなければ友達に教えてもらう。敬語や丁寧語を覚えるために、コーヒー店でアルバイトもしました。接客の仕事は、日本語をレベルアップさせるうえでいい訓練になったと思います」

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札幌の専門学校を卒業したカロリンさんは2012年に漫画家デビュー。©Carolin Eckhardt/Shueisha

すでにギタリストとして活躍していたマーティさんは、初来日以降、ほぼ自力で日本語を習得しました。かつてあるインタビューで「大学の通信教育を1年間受講し、基本的な文法をきっちり学んだ」と語っています。バンドのツアー時には飛行機やバスでの移動中に、通信教育のテキストや日本の音楽雑誌を教材に独習したとか。

「アメリカにいた頃は、日本人を見かけると話しかけていましたね。とにかく、日本語をしゃべるチャンスがあれば必ずつかんだ。大学の日本語弁論大会に参加したこともあります。日本に移り住んでからは、テレビに出演することが一番効果的な勉強になりました。相手の話を注意深く聞く必要があるし、自分の言いたいことを的確に、面白く、かまずに言わなければならない。そういうプレッシャーがかかる状況で話すというのは、僕にとっては最高の練習法です」

【後半】 では、それぞれの「日本語に惹かれる理由」や「おすすめの日本語学習法」などを紹介します。どうぞお楽しみに!

(編集:斉藤さゆり)

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Marty Friedman(マーティ・フリードマン)
アメリカ・ワシントンD.C.出身。カコフォニーなどのバンド活動を経て、1990年に世界的なメタルバンドに加入。その人気メガバンドで10年間ギタリストを務めて脱退した後の2003年、J-POPに魅せられて日本へ移住。以降、日本の音楽シーンでギタリスト、作曲家、プロデューサー活動を展開するほか、テレビやラジオ、映画などでもマルチアーティストぶりを発揮。2014年にソロアルバム『インフェルノ』(ユニバーサル)をリリース。画期的英語学習書『「ジョジョの奇妙な冒険」で英語を学ぶッ!』(集英社)の監修も務めている。

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Carolin Eckhardt(カロリン・エックハルト)
ドイツ・ポツダム市出身。13歳で日本語の勉強を始め、日本で漫画家になることを志す。ポツダムの高校に在学中の2004~2005年、札幌市の高校に留学。ポツダムの高校を卒業後の2007年に札幌に戻り、専門学校の札幌マンガ・アニメ学院に入学。卒業後、2010年から同学院で準教員として勤めながら漫画を描く。2012年に連載がスタートし、漫画家デビューを果たす。2014年に連載が終了したのを機に7年間暮らした札幌を離れ、新しい刺激を求めて東京へ。

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Jenya(ジェーニャ)
ロシア・ノボシビルスク市出身。ノボシビルスク国立経済経営大学IT学部卒業。2000年頃から自身のウェブサイトにて、日本語でアニメソングを歌って音声を公開。2005年に日本に移住し、プロの声優を目指して本格的な活動を開始。2009年に『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』でデビューし、以降、『プリティーリズム・オーロラドリーム』『クレヨンしんちゃん バカうまっ!B級グルメサバイバル!!』『ガールズ&パンツァー』などのアニメ作品に声優として出演。また、現在は歌手、タレントとしても活動している。

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