雑誌『をちこち(遠近)』
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国際交流基金の関連事業

沖縄の長寿と食に注目するヨーロッパで、初の本格琉球料理ツアー

在仏沖縄県人会 会長 大城洋子 



2011年11月1日から16日、パリ(フランス)・アウグスブルグ(ドイツ)・ストックホルム(スウェーデン)の三都市で行われた沖縄料理紹介イベント。どの会場も大成功と言える成果で終えることができました。

沖縄料理、厳密には琉球料理をヨーロッパにおいて紹介したのは初めてのことだと思います。さらに本格琉球料理を受け継ぐ最後の人と言われる山本彩香先生が料理指導、レクチャ―を行う機会を設けられたのは一沖縄人として非常に嬉しいことでした。

イベントの内容は、まず私が沖縄の簡単な紹介を行い、その後山本先生による琉球料理の解説、試食する料理の作り方を簡単な実演を行いながら説明、その後試食に移り、最後に質疑応答という流れでした。

特にフランスは美食の国ということもあり、どのような反応を得られるのか興味がありました。幸い評判はかなり良く、質問も活発に行われ、参加者からは「おいしくて体に良い料理なんて理想的」や、「パリで手に入る食材でも実践できる沖縄料理を学べてよかった」などの声が多く聞かれました。またパリでレストランを経営し、今回デモンストレーションに参加したシェフの方から「是非先生の元で勉強したいのだが沖縄に行けば教えていただける機会はありますか」というような具体的な問い合わせもありました。このような反応に、山本先生も手ごたえを感じたようで、このパリの成功は大きな励みになりました。

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パリでのイベント風景


続いてアウグスブルクですが、あまり繊細な味つけのないドイツ料理のイメージもあり、果たして琉球料理のような味付けをドイツの方々が受け入れられるのかという不安が若干ありました。会場は現地の日本の鉄板焼レストラン。協力的なオ―ナ―さんのおかげで、非常に仕込みしやすい現場でした。イベント自体もパリとはまたちがった終始和やかな雰囲気で、少し大きめのホームパーティーのようでした。豚肉を多く食べるドイツの方々にこの沖縄の豚肉の味付けは大変好評で、皆さん試食しながらもレシピに見入っていました。さらにこちらでは沖縄の南国のイメージ、長寿のイメージにも関心をもたれ、「沖縄に行くのはいつが最適か」「日本語の話せない旅行者の現地案内はあるのか」等の観光に関する質問も多くありました。原発問題後、日本の観光客が激減している中で、日本観光に関心を持っていただけたことは、非常に嬉しかったです。そして、このような文化交流はこの試練の時だからこそやるべきだということを実感しました。

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アウグスブルクでのイベント風景


最後のストックホルムの会場は、ヨーロッパで有数の日本旅館風リゾ―ト「やすらぎ」。滞在ホテルがそのまま会場ということで、移動のストレスもなく、ホテルの方々の細やかな気配りで旅の疲れも忘れ、スムーズに仕込みが進みました。当日、山本先生は着物を着ていらっしゃったのですが、調理実演の段で、スウェーデンの民芸品の木馬をかたどったエプロンを着用したので、お着物の繊細さとエプロンのギャップに観客がどっと和み、300名規模の企画にもかかわらず、お互いに親近感を感じるような雰囲気の中、イベントが進行していきました。質疑応答も、「なかなか日本食材が手に入りにくいスウェーデンで、たとえば料理に必要な泡盛が手に入らない場合、どのお酒を代用品にすればよいのか」や、「蒸し料理があるが、この国ではあまり蒸し調理の習慣がないのでそのため調理器具も存在しないがその場合はどのように調理すればより近くなるのか」等、具体的な質問が多く寄せられ、あまりの質問の多さに予定終了時刻を大幅にすぎてからの試食になりました。300人の参加者にふるまわれた試食はあっという間になくなり、その後は質問できなかった参加者や、試食によりさらに沖縄料理に興味を持った方々が山本先生を囲んで質問攻めにしていました。大変うれしそうに質問に答える山本先生、その先生を囲んで笑顔の絶えないスウェーデンの人々、イベントはまたもや大成功に終わりました。

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ストックホルムでのイベント風景


この事業を通して各国で琉球料理が作られ、食卓やレストランのメニューに並ぶことがあれば本当の意味でこの事業のミッションは完結すると思います。
すでにその種が植えられたことは各地で実感しています。これをきっかけに、沖縄の長寿と食が注目されつつあるヨーロッパで、本格琉球料理が根付くことを願っています。





沖縄の琉球伝統料理 パリ、スウェーデン、ドイツにて レクチャーとデモンストレーション
http://www.jpf.go.jp/j/about/press/dl/0649.pdf

「パリ日本文化会館等における食文化事業」料理専門家の公募 審査結果
http://www.jpf.go.jp/j/culture/new/1011/11-03.html






ryukyu07.jpg 大城洋子
沖縄県名護市生まれ。
大学卒業後県費留学生として渡仏。
レンヌ第2大学講師等を経て、現在はフリー通訳、コーディネーター。
2006年より在フランス沖縄県人会会長。




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