雑誌『をちこち(遠近)』
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¡Pura Vida! 水木一郎ライブinコスタリカ

水木一郎(アニメソング歌手)



国際交流基金(ジャパンファウンデーション)は、日本と中米5カ国(グアテマラ、エルサルバドル、ホンジュラス、ニカラグア、コスタリカ)が外交関係を樹立して80周年にあたる「日・中米交流年 」の開幕記念イベントとして、また海外巡回展「キャラクター大国、ニッポン」展 の開催にあわせ、日本のアニメソング(アニソン)界の帝王、歌手の水木一郎氏によるアニソンライブ及びトークショーをコスタリカの首都、サンホセにて開催しました。水木氏に、コスタリカでの交流や今後についてお話を伺いました。


これまで数多くの海外公演のご経験がある水木さんですが、コスタリカライブが中南米初上陸とのこと。ラテンアメリカの土地や人柄、水木さんのファンの皆さんの印象はいかがでしたか?

水木:自然が豊かで、街中がカラフル。人も大らかで、心地よいところでした。ライブでは開演前から「アニキ」コールが響き、想像以上の盛り上がりに驚きました。コスタリカではマジンガーZが大変な人気で、屋根の上にお手製の巨大なフィギュアを建ててしまった人もいるくらいだそうです。マジンガーZ、宇宙海賊キャプテンハーロック、仮面ライダーシリーズなど僕の歌も人気が高く、3世代にわたるファンも多いと聞いていました。実際、コンサートには小さな子どもたち、3mもあるグレートマジンガーのコスプレイヤー、お揃いのアニキTシャツを着た若者など、幅広い年齢層の方に来ていただきました。みな立ち上がって一緒に歌ってくれ、とても嬉しかったですね。ラテンの国の印象に似合わず、日本人のように奥ゆかしく、割とシャイな国民性のコスタリカでは珍しい光景なのだそうです。コスタリカには「¡Pura Vida!」というコスタリカ風の挨拶がありますが、これは「なんでもOK」「Good」といった意味だそうで、どこへ行ってもこの一言で大受け。魔法のキーワードでした。

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(左)マイクを向けるとノリノリで答える観客たち
(右)圧倒的な迫力に包まれたステージ


今回、ギネスブックに載っている世界一の長寿番組『TELECLUB』への出演や、コスタリカの人気バンドBand 4 Allとの共演も話題となりました。共演してみて、いかがでしたか?

水木:『TELECLUB』の司会者イネス・サンチェスさん、Band 4 Allのメンバー、いずれも初対面でしたが、プロ同士、目と目で通じ合うところがありました。すぐに打ち解けることができたのは、お互い長年現役で活動し続けてきたからだと思います。音楽には国境がありません。Band 4 Allとは次回ライブを行うことがあったら再び共演しようと誓い合いました。

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(左)アンコール後、客席をバックにBand 4 Allと記念撮影
(右)コスタリカ版の黒柳徹子と親しまれているイネス・サンチェス氏


ライブのアンコールでは東北六県の力を合体させたヒーロー、『東北合神ミライガー』のテーマソングを歌って下さいました。この曲を選ばれた理由と、観客の反応はいかがでしたか?

水木:僕の持ち歌は1200曲ほどありますが、そのほとんどが正義のヒーローを主題としたものです。ヒーローを歌ったアニメソングには、正義、愛、友情、希望が詰まっている。何より、人を笑顔にする力があります。こどもたちの未来にエールを送りたい、そんな思いから生まれたのが『東北合神ミライガー』です。被災地を訪問した際も、「勇気をもらった」「前向きな気持ちになった」「久しぶりに笑った」という声が嬉しかったです。しかし、むしろパワーをもらったのは僕自身でした。救助・捜索にあたった隊員の方々、各地から集まったボランティアのみなさん、互いにいたわり励まし合うすべての人々......復興のために尽力するひとりひとりがヒーローだったのです。子どもたちの笑顔に力をもらうことも多いです。今回コスタリカでも、復興のためにアニソン歌手として自分ができることとは何か、そして僕が被災地を訪れて感じていることを伝えたくてこの曲を選びました。コスタリカではなじみの薄いこの曲を選んだことに不安もありました。しかし、中米も地震の多発地帯であるためか、シンパシーをもって受け止めてくれたようです。復興への思いを綴ったショートビデオとスペイン語の訳詞の入った『東北合神ミライガー』のミュージッククリップをじっと真剣に見て、何かを感じ取ってくれたようでした。

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(左)被災地での一コマ
(右)スペイン語字幕つき『東北合神ミライガー』のPVも上映


水木さんは常に相手のことを思いやりながら双方向のコミュニケーションを大事になさっているという印象を受けました。Twitterやfacebookでも日々ご本人自ら世界中のファンとコミュニケーションをとっていらっしゃいますね。国際交流をする上で心がけていらっしゃることはありますか?

水木:相手の声に耳を傾けつつ、自分の言葉で発信することを何より大事にしています。国際交流に限りませんが、コミュニケーションで肝心なのは気持ちが通じ合う、ということです。たとえ言語が違っても、心から発信したものであれば相手の心に響くと思います。また常に誰とでも公平に接したいと思っています。今回のコンサートの最中、サインや写真を求められた際、「みんなにフェアに接したいから一人だけにはできないんだ」と伝えると、客席から歓声があがりました。コスタリカのみなさんにも僕の気持ちが通じていると感じました。

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(左)SNSには海外のファンへ向けた投稿も多い
(右)かぶりつきで食い入るように見つめる観客


海外では約400万人が日本語を学習していますが、その多くがアニメ、中でもアニソンをきっかけに日本に魅了された人たちです。そんな力を持つアニソンを通じ、どのようなことに取り組んでいきたいですか?

水木:アニソンは日本が誇る宝です。子どもたちのために、影響を受けやすい時期に親しむものだからこそ丁寧に、良質の音楽を作ろうと努めた僕たちの思いの結晶です。だからこそ、大人になってもなお心に残るのだと思います。そのようにして作られた数々のアニソンが、何十年も前から海外の子どもたちにも確かに届いていたということが、とても嬉しいです。同じ曲が現地語に訳されていても、オリジナルの日本語で聴きたいというのがファン心理のようです。僕は子どもの頃に洋楽に憧れて英語を覚えましたが、今ではアニソンがきっかけで日本語を勉強する人も多いと聞きます。アニソンに込められたメッセージは、世代や国籍を問わない普遍的なものです。さらに、僕たちが歌うアニソンは言葉をハッキリと発音しているので、日本語を覚えるいい教材になっているのかもしれません。アニソンには世界中の人を惹きつける大きなパワーがあると信じています。今回僕は、「世界中に日本のファンを増やす」という基金の方針に賛同し、ぜひ協力したいと思いました。僕が活動を始めたころは、アニソンというジャンルはなかなか世間に認めてもらえませんでしたが、それから40年以上経った今、この言葉は世界共通語になりました。世界中に僕の声を聴いて育った人たちがたくさんいます。これからも、できる限り多くの国々をまわって、僕の歌を生で聴きたいと待ち望んでいる人はもちろん、「水木一郎」という名前を意識したことのない人にも、アニソンが持つパワーを直にぶつけていきたいと思います。そのとき、あらゆる壁を越えて、どんな魂のキャッチボールができるのか、とても楽しみです。「アニソン歌手」として国際交流を担える立場になったことには大変な感慨があります。いま、何かを目指している人には、夢をあきらめず長く続けていくことはとても大切だよ、と伝えたい。「継続は力なり」です。そして僕自身も、声の続く限り、これからも夢、希望、勇気を与える歌、「アニソン」を歌っていきたいと思っています。





水木一郎(みずき・いちろう)
アニメソング界のパイオニアであり、今なお現役最前線でトップを走り続ける「帝王」。1999年には前人未到の「24時間1000曲ライブ」を成功させる。持ち歌は1200曲以上。ネットの百科事典ウィキペディアでは現存する日本人最多の90言語で掲載されるなど、海外からの関心も高い。2015年度版の小学校道徳教材には、その半生をつづった読み物「アニメソングの帝王に-水木一郎」が掲載されている。

代表曲:
• マジンガーZ(1972年『マジンガーZ』主題歌)
• バビル2世(1973年『バビル2世』主題歌)
• おれはグレートマジンガー(1974年『グレートマジンガー』主題歌)
• セタップ!仮面ライダーX(1974年『仮面ライダーX』主題歌)
• 仮面ライダーストロンガーのうた(1975年『仮面ライダーストロンガー』主題歌)
• テッカマンの歌(1975年『宇宙の騎士テッカマン』主題歌)
• 鋼鉄ジーグのうた(1975年『鋼鉄ジーグ』主題歌)
• コン・バトラーVのテーマ(1976年『超電磁ロボ コン・バトラーV』主題歌)
• キャプテンハーロック(1978年『宇宙海賊キャプテンハーロック』主題歌)
• ルパン三世 愛のテーマ(1978年『ルパン三世』主題歌)
• 燃えろ!仮面ライダー(1979年『仮面ライダー』主題歌)
• ゼブラーマンの歌(2004年 映画『ゼブラーマン』劇中主題歌)
• 道(タオ)(2007年『獣拳戦隊ゲキレンジャー』主題歌) 他多数

水木一郎 公式 facebook ページ
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