雑誌『をちこち(遠近)』
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対話を通じて考える、アジアの未来

イ・ウォンジェ(希望製作所副所長、ソーシャル・デザイナー)



 国際交流基金(ジャパンファウンデーション)では、 1996年より公益財団法人国際文化会館との共同事業として、アジア・リーダーシップ・フェロー・プログラム(ALFP)を実施しています。ALFPは、対話を通じて、アジア各地域のリーダーとして活動するパブリック・インテレクチュアルが、情報や価値観を共有することにより信頼関係を醸成し、国境を越えたよりよい市民社会の実現に向けて、専門分野を超えた人的ネットワークの形成と緊密なネットワークの構築をめざすプログラムです。
 今回、2014年度フェロー7名の中から、韓国のNGO系のシンクタンクである希望製作所の副所長、イ・ウォンジェ氏(韓国)に、ALFPフェローとして日本に滞在した2ヵ月間を振り返り、ALFPを通して見た日本、他のフェロー達との交流、そして今後のALFPについて、また若者達に向けての期待を語っていただきました。インタビューの模様を、ぜひ動画でお楽しみください。





ALFPフェローとして日本に滞在した2ヵ月間で、他のアジアからの参加者から得たものは何ですか?

自分がアジアの他の国について、いかに知らなかったかということに、仲間のフェローと出会って気がつきました。一口にアジアと言っても、とても多様です。多様なアジアを理解するためには、人々に会い、友人になることが必要です。ALFPに参加して、多様なアジアの友人を作ることができました。


ALFPに参加して一番印象に残っていることは何ですか? 

東日本大震災の後、東北地方がどうなっているかを知りたかったので、宮城県石巻市、仙台市、そして福島県郡山市に行きました。そこで、活動している若者たちに出会いました。彼らは、自分たちが東北を救うのだという使命感や、日本経済再生のために活動しているわけではありませんでした。ただ、東北に住むことが他の場所より心地よいからだというのです。
都会のように競争的ではなく、社会の一員として責任のある暮らしができるから東北にいるというのです。私は、彼らの姿勢にとても感銘を受けました。今回のALFPでの滞日中、最も印象に残っている出来事です。
アジアの国々で、これから国際的に活動する人、未来志向の人、イノベーションを起こす人、若い世代の人たちは、もっと実際に会って話をし、アイディアを交換すべきだと思います。そうした若者たちが社会をリードしていく。それが、この2ヵ月で得た私の考えです。


ALFPを通じて、アジアに知的リーダーのネットワークを構築することについて、どう思いますか?

今後、韓国が直面するであろう課題の多くは、日本が現在抱えているか、過去に経験した課題です。ですから、私は日本で実際に起こっていること、特に東日本大震災の後、日本がそれにどう立ち向かい、そこから復興しようとしているかを、自分で見たいと思いました。ALFPにおける国際交流基金の姿勢で好ましいのは、分野横断的であるという点です。
また、個別の学問領域にとらわれず、学際的であるのも長所です。ALFPには、バングラデシュの言語学者もいれば、ネパールの経済人類学者もいる。米国で学位を得て、ベトナムで活躍する経済学者も参加しています。
新しいタイプの社会課題を解決するためには、このように様々な分野の専門家が集まることは、必要不可欠です。現代の問題はどれも、複数分野にまたがっています。ALFPフェローの専門分野は多岐にわたっていますから、社会問題に対して、より分野横断的な、あるいは多分野が連携したアプローチで、解決策を見つけることができるでしょう。ここに、私の(社会問題に対する)アプローチとALFPのアプローチの共通点があると思いました。





李源宰(イ・ウォンジェ) Lee Wonjae
希望製作所副所長。社会問題の解決に向けて新しい考え方や仕組みをもたらすソーシャル・イノベーションを専門とする執筆家・教育者であり、経済評論家。延世大学にて経済学を専攻し、ハンギョレ新聞社の経済部記者を経て、2005年にマサチューセッツ工科大学スローン経営大学院にて経営修士号を取得。サムスン経済研究所首席研究員を経て、ハンギョレ経済研究所(HERI)を設立し、所長として同研究所を率いた。2012年の韓国大統領選の有力候補者であった安哲秀(アン・チョルス)氏の政策企画室長を務めた。その後、創造性を駆使して社会に変化をもたらす社会起業家の育成を目的としたソーシャル・フィクション・ラボのCEOを務め、多様な媒体を通じて自身のビジョンを発信してきた。2014年よりNGO系のシンクタンクである希望製作所の副所長。関心領域はCSR(企業の社会的責任)、社会起業、社会革新のための公共政策など。日中韓の代表的な企業を対象にCSR評価モデルを構築する研究プロジェクト「East Asia 30」など、さまざまなCSR事業に関わってきたほか、韓国における経営教育プログラム「社会起業家のためのMBA(MBA for Social Entrepreneurs)」を考案した。著書も多数。




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