国家主義と国際主義-ラビンドラナート・タゴールの政治哲学

ラーマチャンドラ・グハ氏(歴史家)



 国際交流基金(ジャパンファウンデーション)は、平成26年度日印交流事業として2015年3月18日に歴史家のラーマチャンドラ・グハ氏を迎え、講演会「国家主義と国際主義-ラビンドラナート・タゴールの政治哲学」を国際文化会館と共催で開催しました。本講演では、アジア人初のノーベル賞受賞者として、詩、戯曲、小説などでその才能を賞賛されたラビンドラナート・タゴールの思想家としての側面にスポットを当て、タゴールが日本や中国、米国を訪れた際の発言や行動をもとに彼の政治哲学を再考しました。日本の軍国主義化を危惧し、国家や民族間の対立や憎悪を強く批判したタゴールは、インド独立運動の父として知られるマハトマ・ガンジーや、インド初代首相で最長政権を維持したジャワハルラール・ネルーにも絶大な影響を与えました。

 タゴールの先見的な国際主義について紐解いたグハ氏の講演全内容(英語、日本語字幕付き)をYouTubeでご覧ください。







rabindranath_tagore01.jpg ラーマチャンドラ・グハ
1958年生まれ。歴史家、伝記作家として多岐にわたる活動を行う。主著に先駆的な環境史『The Unquiet Woods』(University of California Press, 1989)、クリケットの社会史を描いた『A Corner of a Foreign Field』(Picador, 2002)など。『India after Gandhi』(Macmillan/Ecco Press, 2007、邦題『インド現代史』佐藤宏訳、明石書店、2012年)はエコノミスト、ワシントン・ポスト、ウォール・ストリート・ジャーナルなどから「ブック・オブ・ザ・イヤー」に、またタイムズ・オブ・インディアなどから「ブック・オブ・ザ・ディケイド」に選出された。近著『Gandhi Before India』(Knopf, 2014)もニューヨーク・タイムズから2014年の「注目すべき一冊」に選出されている。
ラーマチャンドラ氏のコラムは6言語に翻訳され、インド国内で多数の新聞に同時配信されており、累計で2000万人の読者に届けられている。これまでに執筆した著書やエッセイは20以上の言語に翻訳されており、ニューヨーク・タイムズは同氏を「おそらくインドにおける最高のノンフィクション作家」、タイム誌は「インド民主主義の傑出した歴史家」と評した。
これまでイェ―ル大学、スタンフォード大学、オスロ大学、カリフォルニア大学バークレー校などで教職を務めたほか、2011年から2012年まではロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)で「Philippe Roman Professor」として、国際関係と歴史の分野で教鞭をとった。
米環境史学会のLeopold Hidy賞をはじめ、デイリー・テレグラフ紙のCricket Society賞、社会科学の優れた研究を表彰するMalcolm Adideshiah賞、卓越したジャーナリズムに与えられるRamnath Goenka賞やSahitya Akademi賞、R. K. Narayan賞など多数受賞。2009年にはインド市民栄誉賞であるPadma Bhushan賞を受賞、2008年と2013年には英プロスペクト誌から世界で最も影響力のある知識人の一人に選ばれた。2014年にはイェール大学から人文科学の名誉博士号を授与されている。




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