響きあうアジア2019
サッカー国際親善試合「JapaFunCup」レポート

2019.9.30

【特集070】

夫津木美佐子
(国際交流基金アジアセンター 文化事業第2チーム)

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「アジアが強くなるために、ともに何ができるだろうか?」という可能性に挑戦すべく、国際交流基金アジアセンター、日本サッカー協会(JFA)、日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)は、2014年より、東南アジアとのサッカー交流事業を進めてきました。
このサッカー交流事業では、東南アジアの国々が手を取り合い、サッカーを通じてともに良きライバル、良き友人としての関係を育みながら、日本のサッカー界が積み上げてきた知識・経験を東南アジアの国々の人たちと共有し、ともにレベルアップした「アジアのサッカー」を創ることを目指し、指導者派遣や選手育成に力を入れてきました。

サッカー交流事業5年間の集大成

アジアセンターが設立6年目を迎えた2019年、日本と東南アジアの芸術文化交流事業を幅広く紹介する祭典「響きあうアジア2019」の一環として、サッカー交流事業の集大成に日本と東南アジアのサッカー国際親善試合「JapaFunCup(ジャパファンカップ)」を開催することとなりました。
アジアで最も多様なチームを目指し、東南アジアの11か国から選抜された18歳以下の男子選手たちによる「ASIAN ELEVEN」チーム。11か国から2名ずつの選手が各国のサッカー協会を通じて日本に派遣されました。ベトナムとシンガポールは選手のけがのため、残念ながら直前に1名ずつの参加となりましたが、日本サッカーの聖地Jヴィレッジ福島に20名が集合しました。
「ASIAN ELEVEN」監督は、元Jリーグ選手の古賀琢磨氏。現在は東南アジアでユースの育成に携わり、ミャンマーナショナルチームU-15代表監督も務めています。ほぼ全員が初対面の中で結成された20名の東南アジア選手たちと共に、約1週間という短い時間でチーム作りを行いました。

対する日本は、東北6県から選抜された18歳以下の選手たち。こちらも「初めての東北選抜」チームとして、各県から選ばれた精鋭たちがチーム作りを行い、試合に臨むことになりました。
東北選抜監督は青森県出身の元サッカー選手で、復興支援特任コーチの経歴もある手倉森浩氏(JFA東北ユースダイレクター)が務めました。

いよいよ迎えた本番当日

心配されたお天気もどうにかもち、会場となったJヴィレッジスタジアムには、期待を上回り2,000人を超える来場者がありました。
対戦前半、ASIAN ELEVENが東北選抜をボール支配率で圧倒し、後半では東北選抜が積極的に攻めるも、試合は互いに決定機を得ながらどちらも譲らず。

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激闘の末、0-0のまま90分を終えて決着はPK戦に委ねられました。結果、ASIAN ELEVENが5-4で制して勝利を手にしました。

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勝利が決まった瞬間

古賀監督は試合を振り返り、「今回選ばれた各国の選手は、非常に能力が高く、良い試合ができた。これからも、こうしたチームで経験を積み、アジア全体のサッカーの強化につながることを願っている」と語りました。手倉森監督は「試合に負けたのは残念だったが、東南アジアの選手のレベルの高さは予想以上だった。選手にとっては良い経験になったと思う。今後は東北サッカーの底上げも図っていきたい」と意欲をみせていました。またASIAN ELEVENのキャプテンを務めたチャーンナロン・プロムシーケーオ選手(タイ)は、「今回様々な国の選手とプレーし、最初はコミュニケーションが難しい部分もあったが、サッカーは共通言語なので試合では問題にならなかった。とても楽しむことができた」と本大会を振り返りました。

強力なサポーターによる熱い声援

試合当日のハーフタイムには、圧倒的な歌唱力で躍進するボーカルグループ 「Little Glee Monster」によるミニライブを実施。本大会テーマソング「I BELIEVE」を披露し、会場を盛り上げました。ユニフォームデザインを手掛けた、Kawaii文化を始め日本のポップカルチャーを世界に発信している増田セバスチャン氏も、福島まで応援に駆けつけました。
また、会場では、アーティスト・日比野克彦氏が率いるマッチフラッグプロジェクトの参加者が特製の旗で声援を送りました。

「Little Glee Monster」スペシャルインタビューはこちら

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マッチフラッグで声援する観客たち

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スタジアムの外では東南アジアの様々な料理を楽しみながら交流

ASIAN ELEVENの今後

本大会は、アジアセンターがこれまで実施してきた東南アジアと日本におけるサッカー人材の育成、及び国境を越えて知識・経験の共有を図る事業の集大成として行われ、サッカーによる相互交流の成果を振り返る契機となりました。
日本と東南アジアが、サッカーをはじめとするスポーツを通して、今後も共に切磋琢磨しながら関係をさらに深めていければと思います。なお、「ASIAN ELEVEN」は、東南アジアでも交流活動を展開していく予定です。

ASIAN ELEVENの福島での活動記録映像を、国際交流基金公式YouTubeで公開しています。

ショートバージョン

ロングバージョン

◆国際親善試合JapaFunCup開催概要

日時:2019年6月22日(土曜日)14時 キックオフ
会場:Jヴィレッジ スタジアム(所在地:福島県双葉郡楢葉町)
参加国:ブルネイ、カンボジア、インドネシア、日本、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、東ティモール、ベトナム
主催:国際交流基金アジアセンター
共催:公益財団法人日本サッカー協会(JFA)
後援:外務省、復興庁、福島県、公益社団法人日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)
特設ウェブサイト: https://asian-eleven.jfac.jp/

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