サンパウロ:日本人移民の百周年を飾る様々な文化事業

サンパウロ日本文化センター

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ブラジル連邦政府によると、今年ブラジル国内で行なわれた日伯交流年(日本人移住百周年)関係事業は全国で2,500件以上に及んだと言われます。特に6月はそのピークで、皇太子殿下のブラジル御訪問の際には、ブラジルの著名人との御接見や首都ブラジリアをはじめ国内8都市での記念式典、関連行事に参加されたほか、日系社会関係者とも積極的に交流を持たれました。サンパウロ市での記念式典には約4万人の観客が集まり、またそれと並行して行なわれた「日本文化週間」は12万人の観客数を記録、10日間で170件の日本文化紹介事業を実施する大規模事業となりました。中でも「千人太鼓」の公演、「サンパウロ州ジャズ交響楽団」による邦楽コンサートは日本でもテレビ放映されました。

サンパウロ日本文化センターは「日本文化週間」の実施を応援したほか、2008年度前半だけで21件の舞台芸術、専門家派遣助成事業を受け入れることになりました。舞台芸術関係では三橋貴風(尺八)、吉村七重(琴)、壇野未佳(三弦)による「邦楽中南米公演」を2都市で、「加藤みや子ダンススペースブラジル公演」を国内5都市で巡回公演し、成功を納めました。本事業は笠井叡・伊藤キム・加藤みや子による作品『SAND TOPOS』、加藤みや子ソロ作品『NIKKI』といった日本人ダンサーによる公演に加え、ブラジル人ダンサーとの共同制作による新作『笑う土』を上演し、百周年交流企画として相応しい事業となりました。また、ブラジル人アーティストによる日本人の身体を追求するダンス作品も多く見られ、中でも日系コレオグラファー、スザナ・ヤマウチの「詫びさび」は日本の毎日新聞にも取り上げられ注目されました。

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8月に行なわれた「サンパウロ国際図書ビエンナーレ」では日本がテーマ国となり、大型ブースを設けて日本紹介をするとともに、日本著作権輸出センター会長の栗田明子女史を迎え、日本の出版事情についての講演会、およびブラジル出版業界の専門家によるブラジルにおける日本文学の普及を巡る座談会も実施しました。

日本語関連事業では「日本語カラオケ・キャラバン」を全国8都市で実施、日本語の習得に励むブラジル人の人気を集めています。ブラジルでの日本語普及はJ-ポップなどを通じて盛んに行なわれていますが、アニメ、漫画、コスプレなどの影響も強く、今や日本の現代文化を象徴する分野としてマスコミを賑わせております。また、その延長線から和食の理解に励むブラジル人も多く、サンパウロ市内では600軒の日本レストランが営業しており、世界有数の日本食都市のステイタスを確立しております。こうした環境の下、サンパウロ日本文化センターは「味覚の知恵」という在外事業シリーズを2006年から開始、有名シェフはもとより、料理専門家による文化講演会、試食の場を設けて和食文化の振興に努めております。サンパウロ日本文化センターでは、高度な日本研究事業の展開と並行して一般市民にも理解してもらえる日本文化紹介活動を目指しております。

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