雑誌『をちこち(遠近)』
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ベトナムの日本語教育の発展のために~育児と両立しながらの日本での研究生活

グエン・ソン・ラン・アイン
ハノイ大学日本語学部専任講師



こんにちは、皆さん。 私は、ベトナムのハノイ大学日本語学部の専任講師を務めるグエン・ソン・ラン・アインです。現在、国際交流基金日本語国際センターと政策研究大学院大学との連携による日本語言語文化研究文化プログラム(博士課程)の2年次に在籍しています。

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日本語教育指導者養成プログラム10周年記念シンポジウム「世界をつなぐ日本語-海外の日本語教育を支える外国人教師たち-」(2011年12月3日 於:政策研究大学院大学)で「作文指導におけるピア・フィードバックに関する研究概観-会話指導への導入を目指して-」のテーマでポスター発表を行う


研究を通して、ベトナムの教育の質の向上に貢献する
私の研究テーマは「スピーチ活動におけるピア・フィードバック」です。
スピーチ活動におけるピア・フィードバックというのは、学習者が仲間のスピーチを改善するために、そのスピーチについて仲間同士でフィードバックを与え、意見交換や情報提供を行う活動です。この学習方法は協働学習の形態の一つで、教師主導ではなく、学習者が主体となって行うものです。学習者が仲間との対話を通して、話す能力を向上させると共に、最終的には自分自身が気付いていくことや自分自身を発見することを通して、自律的な学び手となります。

ベトナムにおける日本語の位置づけは、外国語です。つまり、ベトナム人の日本語学習者は日本人と接触する機会があまりなく、日常では日本語を話す環境ではありません。この「スピーチ活動におけるピア・フィードバック」という学習方法がベトナムにより導入されれば、ベトナム人の日本語学習者が、日本語をより意欲的に話す環境を与えることにも貢献すると期待しています。

近年、ベトナムでは日本語学習者が急増し、日本語教育は画期的な時期を迎えています。(国際交流基金が2009年に実施した「海外日本語教育機関調査」によれば、ベトナムの日本語の学習者人口は世界第8位で44,272人。2006年の同調査では、29,982人だったので、3ヵ年で47.7%の伸びを示しています。)
そうした背景の中で、ベトナムの日本語教師には学習者の能力を一層向上するように、指導方法・学習方法を改善し、新たなアプローチを見つけることが求められています。また、この10年間、ベトナム教育訓練省は各大学等に対し、学習者中心の積極的な授業参加を促す教育法の導入を呼びかけています。前述の学習方法(スピーチ活動におけるピア・フィードバック)はこのような要求に応えて、ベトナムの各大学における従来の話す指導の伝統的な考え方を再考する契機を与え、この分野で大きな役割を果たすことができると思います。
ベトナムの多くの学生は学習意欲が高いので、教師が適切な指導方法を獲得・実践すれば、学生たちの話す能力は間違いなく向上し、その効果は比較的早い時期に表れると考えます。私は、本研究を通して、微力ながら他の教師と共にベトナムにおける日本語教育だけでなく、ベトナムの教育全般の質の向上に貢献したいのです。

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ベトナムの教育現場での模擬授業


子連れの日本での生活
私は、2008年から2009年までの1年間の日本語教育指導者養成プログラム(修士課程)に引き続いて、国際交流基金から2度目となるフェローシップを得て、日本言語文化研究プログラム(博士課程)に在籍しています。
今回の滞在は3年間と長いので、息子を日本に連れてきて、一緒に滞在しています。息子は今年7歳で、さいたま市立鈴谷小学校で1年生として勉強しています。もちろん、私自身、博士課程に在籍し、研究を行いながら子育てをするのは大変な面もありますが、私にとって非常に貴重な機会となっています。
自分の研究の他に、息子の学校教育を通して日本の教育や学習環境、日本の文化を深く理解、把握できるようになってきました。今や日本の文化に対する自分の認識、知識もずいぶん深まったのではないかと思います。

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(左)雪の舞う日本語国際センターで
(右)『ピッカピカの一年生』、日本の小学校に通う息子


本プログラムに参加し、私の人生は変わったと言っても過言ではないでしょう。我慢強く、どんなに困難があってもがんばるという日本人の性格が大好きです。
博士課程を修了したら、ベトナムに帰って、自分の研究をさらに発展させることや日本の文化をベトナムの人々に伝えることでベトナムの教育やベトナムと日本との友好関係に微力ながら貢献していきたいと考えています。(原文・日本語)





vietnameducation04.jpg グエン・ソン・ラン・アイン
Nguyen Song Lan Anh

ハノイ大学日本語学部専任講師
ハノイ外国語大学(現ハノイ大学)日本学部で日本語専攻。卒業後、母校の講師に就任するとともに、ベトナムテレビ放送局の協力者として日本関連番組制作にも関与。その他、「ドラえもん」のベトナム語版翻訳、宮本輝『錦繍』など日本文学の翻訳も手がける。海外の日本語教育機関等の現職日本語教師を対象に、国際交流基金と政策研究大学院大学とが連携して実施している日本語教育指導者養成プログラム(修士課程)を首席で修了し、現在、日本言語文化研究プログラム(博士課程)に在籍。




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