雑誌『をちこち(遠近)』
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カイロ:パピルス復興―紙とアートで社会を変える

カイロ日本文化センター

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ムハンマド・アブル・ナーガさんという、アーティストを紹介します。色々な素材でアートを制作していますが、そのなかでも紙に魅せられ、紙を使った作品を数多く発表しています。そのムハンマドさんが、2007年7月18日号ニュースウィーク日本版の特集「世界を変える社会企業家100」の一人に選ばれたのです。
選抜理由は、ムハンマドさんが2002年に創設した紙作り工房、ナフィザ・センター(ナフィザは「窓」の意)の活動への評価。ハスやバナナの葉などの農廃物や企業からもらったシュレッダーされた紙、ぼろぼろで使えなくなったお札などを利用して、環境に配慮した手作りの紙製造を行なっています。また、農業従事者などの低所得者や身障者を雇用して、彼らの経済的自立支援にも力を入れています。紙を加工、デザインしてグリーティング・カードやレターセットなども作って、市場に卸しています。

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ムハンマドさんは、1998年、ジャパン・ファウンデーションのフェローシップで来日。世界的に著名な和紙アーティスト、伊部京子さんのもとで日本の紙作り技術と紙を使ったアートを学びました。今やエジプトを代表するアーティストの一人となりましたが、10年前に日本で学んだことが今の自分に大きな影響を与えたということを、感謝の気持ちいっぱいで語ってくれます。

そして、2007年11月、国際交流基金はムハンマドさんと協力して、伊部京子さんをナフィザ・センターに招き、紙作りのワークショップを行ないました。二日間の日程で、初日はキットになっている材料であかりを作成、二日目は和紙の技法の説明を受けた後、和紙と地元の紙を組み合わせた独自のあかりを作りました。紙作り技術のノウハウと、自らの創意で作品の市場価値を高めることの大切さを、参加者の多くが学んでくれたようです。

ムハンマドさんは、今度は、国内外からアーティストをナフィザ・センターに招いて、ナフィザ産の紙を使った芸術作品制作に取りくんでもらうプロジェクトを構想中です。作品の売買による市場開拓、ナフィザ・センターへの再投資、そして何よりもナフィザのスタッフがアーティストに刺激を受けて、さらに魅力的なペーパー・クラフトを生み出してくれることが期待されます。

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