「新型コロナウイルス下での越境・交流・創造」インタビュー・寄稿シリーズ<8>
アーティスト/デザイナー/東京藝術大学デザイン科准教授 スプツニ子!さん

2020.12.18
【特集073】

特集「新型コロナウイルス下での越境・交流・創造」(特集概要はこちら)インタビュー・寄稿シリーズ第8回は、テクノロジーを駆使したアート作品を通じてジェンダーや生命倫理の常識を問い直すアーティストのスプツニ子!さん。コロナ下で、コミュニケーションやインターネット、アートの未来をどのように見つめているのでしょうか?

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《東京減点女子医大》
作家/スプツニ子!+西澤知美
大学医学部入試で女子受験者に不利な得点操作をしていたことから、減点された優秀な女子学生を集めて、エリート男性ドクターをつくりあげるという架空の医大を設立する(2019年)

――コロナ以降はどのように過ごされていますか?

参加していた森美術館の「未来と芸術展」が2020年3月に途中で中止になってVR映像の配信展示に切り替わったり、イスラエルでの展覧会も途中で中止になったりしてしまいました。イスラエルはまた新しい鑑賞ルールを加えて再開したみたいですが。

もともと月に一度は海外に行っていて、2019年だけでもリストアップしたらアメリカ、シンガポール、イギリス、フランス、スイス、ドイツ、中国、すごい勢いでいろいろ行っていました。
海外に行くことは、自分の考え方やライフスタイルを客観視する機会になると思うんです。ずっと同じ文化、社会にいると見えてこなくなることがあるので、海外に行って対比することで自分が自由になれるという気持ちもあったし、多様な考え方の人と会えるから、入ってくる情報もすごく新鮮に感じる。
自分のアウトプットの仕方も日本向けと海外向けでまた違うから、そういう機会が減ったのは自分の中で一番つらく、ストレスがたまることもあるんですけれど、海外に行かなくなって、ミーティングもオンライン中心になったことで、集中して何かに取り組むことは前よりできる気がしていて。
動けないぶん長期的な目線で、今何に自分の時間を投資するか、というのを考えることが増えたんじゃないかなと思います。前は忙しくやっていたけど、ふと立ち止まって「どんな仕事をしようかな」とか、「コロナが明けたらどういう世界がいいのかな」と考える人はいるんじゃないかなと思います。

教えている東京藝術大学でも全部オンライン授業で、なんとか乗り切っているんですけれど、実技では物をつくったり工房を使ったり、リアルじゃないとできないことも多いから、学生たちのフラストレーションは感じます。オンライン授業になって、ロンドンのデザイナーやニューヨークの建築家に授業をしてもらいやすくなったのは良かったですが。

2019年、リアルで登壇したトークイベント「TED Talks」*¹ も全部オンラインになってしまって。TEDって、リアルの場に面白い人がたくさん集まっているからいろいろな出会いや発見があるのに、オンラインでトークを見るのは少し違うなと思うし、人との出会いがずっと制限されていますよね。在宅ワークやオンラインミーティングにはいいところもあるんだけど、「これが理想じゃないよね」というのはあって。今年ずっと印象に残っているのは、人に会えない、外に出られないっていうもどかしい感じですね。

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TED2019でのプレゼンテーションの様子

――対面だからこそ得られることがあるわけですよね。

ああいうイベントって、何の気なしにランチ中に隣の人としゃべって友達になって、そこから仕事の話をするみたいなことがあるんですけど、オンラインのシンポジウムって、気軽になんとなく友達になるみたいな環境でもないじゃないですか。

海外に行けないから情報のインプットがすごく減った感じがあって、意識して情報を摂取しようと頑張っていますけど、ソーシャルメディアだとゴミみたいな情報もいっぱいあるし、意識しないと自分のフィルターバブルの中の情報しか入ってこないから、どんな情報に触れるかというのをすごく考えるようになりましたね。

――2009年の作品《スカイプのうた》で、「私たちはSkypeで本当につながれているのか?」と問いかけていましたが、まさに今、同じ疑問を感じる人が多いと思います。時を経てその問いについてどう考えていますか?

《スカイプのうた》(公式YouTubeより)

今思うことは、正直、10年前と比べてだいぶ悲観していて。こういうインタビューって希望の光がないといけないプレッシャーがあるから言いにくいですが(苦笑)。

私が大学院を卒業して《生理マシーン、タカシの場合》を発表した2010年頃、ソーシャルメディアは今と違う文化で、アーリーアダプター(新しいものを比較的早期に受け入れる利用者)が多かったので、先鋭的なアイデアやコメントで溢れていました。保守的なものを流すマスメディアへのアンチテーゼ的な、パンクなコンテンツをインターネットで発信すれば、先進的なアイデアも広がっていくというイメージが、まだ10年ぐらい前にはあった気がしていて。

マスメディアはメインストリームな、日本だと男性中心でアメリカだと白人の男性中心になりがちで、女性やLGBT、人種的マイノリティーの視点が反映されにくい。それに対して、インターネットってパンク、DIYカルチャーみたいな場所だし、何かプロジェクトをやりたいときはクラウドファンディングもあったし、私も作品制作のチームをインターネットで募って、インターネットで発信すれば、先進的な、リベラルなアイデアも広がっていくという自信とビジョンがあった。10年、15年前って、インターネットが"未来のユートピア"みたいな語られ方がよくされていたじゃないですか。

実際、フェミニズムの「#MeToo(ミートゥー)」*² もインターネットのおかげで加速したし、「ブラック・ライブズ・マター」*³ もインターネットのおかげで黒人への暴力が明るみに出て変わり始めた。インターネットがたくさんのことを変えてくれたんですけど、今私が悲観しているのが、それに対するバックラッシュかなと思っています。

インターネットに全員参加するようになると、大勢の人の声が聞こえるものは保守的な意見であったり、人の注目を集めたり賛同を得やすいのは、すごく極端な意見であったりするから、極端なアンチフェミニズム、人種差別やヘイトもインターネットで目立ちやすいし、賛同者が集まりやすくなる。アメリカでも、大統領選の支持者同士が完全にコミュニケーションできないぐらい分裂しているような状況が起きています。

先進的な意見って、ある保護された環境の中でないと取り扱いに注意が必要なことってあるじゃないですか。ガリレオ・ガリレイが「地球は丸い」と言っただけでキリスト教会に裁判にかけられたのと一緒で。

特に日本のインターネットは、アーティスト等、何か挑戦的な活動や発言をする人を皆で束になってたたく場所みたいになりつつあり、それが日本で起き得るバックラッシュの始まりに見えるんです。コロナでも「自粛警察」という言葉が日本で流行するぐらいだから。
そうなるとプログレッシブなことをやりたい人が委縮してしまうから、アーティストも作品をインターネットで発表しづらくなってしまう。

日本は分断というよりは、分断にも至らないで国民総自粛みたいになりそうな感じがするんですよ。その香りみたいなものを最近感じていて、コロナになって悪化した気がします。コロナでオンラインになる時間が増え、誹謗中傷に対する規制や法律もあまりないまま、自殺する有名人の方もいて、終わりの始まりのように感じます。

日本で自粛や検閲、監視みたいな空気がインターネットに漂い始めていて、アーティストとしては、そういう息苦しさと「次のステップはなんだろう」ということを、すごく考えるようになりました。
自分の作品は「スペキュラティブ・デザイン」、つまり問題提起するデザインなのですが、作品を出してインターネットで議論をし合おうと言っていたけれど、今はインターネットの議論がすごく陳腐化してしまっていて、「クソリプ」という言葉もあるけれど、もう議論にならなくなってしまっている。かつ、議論したところで、インターネットの多数決を頼りに動いていくとポピュリズムみたいな状況になってしまうんです。

今すごく自分の中で葛藤しているのが、「進化」ってなんだろうということ。
インターネットが未来であり進化であり、人々の望みがかなえられ、マイノリティーに力が与えられると思っていたのが、どうやらこれは逆回転していて、私にとってはコロナによってその終わりの始まりをすごく察知させられた感じがします。

皆イライラして、とりあえずネットで悪口を書くとか、SNSでも自分の自慢話とか、ランチで何を食べたとか、スマホが時間をめちゃくちゃ奪っていて、テクノロジーでいろいろなことが便利になったけれど、時間が浮いた分、人間がよく分からない行動に時間を奪われているじゃないですか。
今そういうことをよく考えるようになって、コロナの状況下については悲観してしまいました。

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《生理マシーン、タカシの場合》
腹部側についた電極が鈍い痛みを伝え、後部のタンクから女性の5日間の平均月経量である80mlの血が流れ、男性でも生理を体験できるというマシーンを開発(2010年)

――今はどうやって海外と接していますか?

今心がけとしてやっていることは、中国語を週2時間ぐらい先生とオンラインでレッスンしたり、学びたい言語と母国語を教え合う外国人の友達ができるアプリで中国語をしゃべる人を探したりして学んでいます。
部屋では海外のニュースをつけっぱなしにしたり、社会情勢を面白く語る英語圏のコメディー動画を見たり、社会派の中国ドラマにはまったりもしています。

――コロナ以降の活動の展望は変わりましたか?

このコロナで作品の定義をちょっと変えられました。
展覧会とかも当分海外ではできないから、今は作品という名のもとに、フェムテック(最新技術による女性向けのサービス)の会社を立ち上げる準備をしています。そこに新しい制作のあり方があるのかなと思って。今までの「議論のためのデザイン」の一歩先で、実際に使えるサービスや会社を問題提起的につくってみたいと考えています。

自分は結構アクティビストに近いところがあって、作品をつくりながら問題提起や議論をするということをずっとやってきたし、ポップなものをソーシャルメディア、YouTube等で表現することが一番合っていると思ってやっていた時期があったんですが、それがなにか違うなと思ったポイントが2019年くらいからで、「これの次ってなんだろう」と、会社を起こしてみようという感じになって。

まだ作品のアイデアもいっぱいあるし、美術館に展示できる機会もコミッションもいろいろある中、離れて新しいことをやるって、やっぱり怖いですが、これが多分私の考える次のステップだなと思ったから、ビジネス的にうまくいかなくてもやったという事実自体がプラスになるだろうと思っています。そういう動きもコロナで加速しましたね。

――アート作品としての会社、アーティストのヨーゼフ・ボイスの「社会彫刻」*⁴ 的な方向に行くという。

そうしたいって自分が願っているんですけど、いざやってみると分からないこともたくさんあって。でも、「いいな」「楽しいな」とは思うんです。資金調達して、ビジョンを掲げて、メンバーを集めてっていうのをやって、「アートと違ってこういうことが起きるんだ」とかいっぱいありますよ。もう失敗上等で「やるしかない」っていう感じでやっています。

――東京藝術大学では、コロナに際して「ポジティブな要素を引き出し、未来に対して希望を持てるデザイン」を提案するという課題で学生の展覧会*⁵ を指導されましたが、一緒に取り組まれてどうでしたか?

当時はコロナになって2、3カ月だったから、彼らにやってもらったことは、今の状況をリサーチし、解析すること。
日本の学生は特に、正解があるものをちゃんと出そうという傾向があるけど、私は常々大学生には現代をよく観察してほしいなと思っていて、先生とは違ったリアルタイムのアンテナで現代を観測して、こういうことが起きているんじゃないかと自分の頭で考えることができると思っています。

デザインの歴史の本を読んで、「ウィリアム・モリスはこう言っていた」みたいな難しい話をしたがる学生もいるけど、本で読んだことや正解を言う力と同じかそれ以上に、今をよく見て、自分なりの正解を提示する力って大事だなと思っています。学生に戸惑われてしまうこともありますけど。

コロナってどこをリサーチしても、誰も答えを持ってないじゃないですか。そうすると強制的に自分で答えを出さなければいけないから、本人たちもそういう意味で責任を持ってリサーチして考えて提案してきたのは良かったですね。自分の目で見て考えるという、状況としてはベストだったと思います。
環境問題を考えるようになったグループも多かったですし、コロナで人々の自粛を監視する「自粛警察」を揶揄したグループもいて面白かったです。

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東京藝術大学作品展「アフターコロナのユートピア」の模様

――多くの大学生の皆さんにとっては登校もできない、自由に学生生活が送れない状況ですが、彼らに伝えたいことは?

めちゃくちゃかわいそうには違いないんですけど、多感な時期にそれが起きたということは、きっと彼らはいろいろなことを考えるし、大人になったときの伸びしろにはなりそうですよね。
「アンビルト」、建たない建築とかコンセプト系の建築も不況のときに生まれやすいというけれど、忙しくしていないからこそじっくり考えたりできるというか、未来のことを提示できるっていうのはあるし。そういうスペシャルな時代の学生だと受け取っていくしかないのかなと。

でも、私はそろそろしんどいですよ。早くコロナ明けてほしい。

このよく分からないと鬱々とした感じが続いて、お店もどんどんつぶれてしまうし、災難ですよね。オンライン最高、在宅ワーク最高って言うけれど、そろそろ「全然最悪だから」って言いたいんですけど(笑)。禁句とされているかもしれないけれども。

世界中をここまで動けなくして、経済も壊滅して、自殺者が増えて、コロナとはいったい誰から何を守るんだろうとか、この非日常はある種の戦争のようにも感じますが、しんどいですよね。

こんなに生きづらいのは久々だけど、今できることをするっていうことで、自分にとっては新しいチャレンジをするきっかけだなと思っています。

――先ほど伺った東京藝術大学の展覧会のテーマのように、未来への希望というのはありますか?

展覧会では、学生たちがすごくリサーチして考えて、自分たちが未来をデザインする立場なんだっていう意識があったのは、すごい希望が持てるなと思いました。
デザインって、ただクライアントからもらったお題をビジュアル的につくるわけではない。自分で構想して次のステップを提示するものなんだみたいな意識が学生たちに芽生えたのは希望ですし。

学生たち、若い世代が希望ですよね。あと、ジェンダーの認識も学生たちは全然違うなと思って、私の世代と比べても男の子たちは当たり前に男女平等意識を持っているし、ジェンダー、LGBTの意識も高い。社会について悲観しているけれど、若い世代の意識が確実に変わっているから、彼らがつくる未来がいいものになるんだろうなという期待をしています。

――天変地異的な状況は創作へのインスピレーションになるかと思いますが、このような状況は良い影響もあるでしょうか?

絶対、天変地異ってインスピレーションになると思うので、それは間違いないんだろうなと思っています。学生たちはタフで、こういう状況でも面白い作品をみんなしっかり考えて準備しているので。

――そもそもアートやデザインを通じて社会に問題提起されるのはなぜですか?

ジョン・レノンの『イマジン』等、音楽の力で問題提起するミュージシャンやローリー・アンダーソン等のアーティストにすごく影響を受けていて、アート、作品だからこそ直接的に訴えかけるものもあるなと思っていたので。だから自分は表現を通して、もっと問題提起したり呼びかけたり、みんなで考えたりしたいなと思ったんですね。
実際、私の作品を見てそう思ってくれた人がいてくれたから今の自分がいるわけで、ありがたいって感じです。

――テクノロジーはこれまで世の中をより便利に、効率的にしていくために使われてきていますが、そういう最新技術をアートで一見実用的でないものに使うところがすごく面白いですね。

でも、「実用的」っていう物差しを疑うっていうのもあるので。それで結構あまのじゃく的な作品が増えやすいというか(笑)、これでこうつくってみよう、こういう視点で見てみようという提案ですね。その次を考えて今の活動もあるんですけど、作品をつくるときはそういうスタンスです。考えてほしいトピックみたいなものがあって問題提起してという。

――そして、それをさらに展開させて起業という作品へ。

だんだん、資本主義ってなんだろうって思い始めちゃって。資本を持っている側と持っていない側の差が激しくて、持っていないと自分の時間を切り売りしないと生きていけない一方、資本を持つと資本が勝手に利益を生んでいくから、働かなくていい人たちがいる。ムーブメントを起こすにしても、最終的にそういう大きな動きってどうしても資本が必要。

男性中心になりがちな資本主義をハッキングしながら、女性にとって面白い未来をつくるという挑戦をしたくなったんです。

ヨーゼフ・ボイスにめちゃくちゃ共感するんですよ。彼は最後には政治まで挑戦し始めるんですけど。挑戦したくなる気持ち、めっちゃ分かるっていうか(笑)、自分も社会彫刻と言うからには、テクノロジー・スタートアップっていう領域をやってみたいなと。

――コロナ下で所得やデジタルへのアクセスに対する格差も起きていますが、テクノロジーやアートにできることはあるでしょうか?

それ、すごく思っていて。今スタートアップをやって気づいたことがあって、私はやっぱり女性の問題とかマイノリティーの問題に興味はあるけれど、社会の中でマイノリティーとされている人たちは、だからこそ消費するお金を持っていない側のことが多くて、どうしても男性目線のプロダクトやサービスのほうがお金につながりやすいんですよね。

だから企業向けのサービスとかをつくるときも、もともと女性のためにと思ってつくったけれど、決定権がみんな男の人ばっかりだから、不本意に思いながら男性目線で書き直すという作業をしていて、なるほどと思いました。お金と決定権を持っていないから、マイノリティーが生きやすくなるためのサービスやアプリほどお金が集まりづらい。

チャリティーって持続性がそんなにないからワンオフ(一度限り)じゃないですか。SDGs(持続可能な開発目標)も話題になっているけれど、サステイナブル(持続可能)であり、しかもビジネスになるっていうものっていいなと思っています。問題意識を持っている人が、スタートアップカルチャーや資本主義をいいあんばいでハッキングしてビジネスをしている。そういう目線は面白いなって、最近思っていますね。
もっと多様な人がテクノロジーや社会に関われるのが理想だと思っています。

――国際的に同時にコロナという問題に直面しているという意味で連帯の可能性がある一方、行き来がなくなって反グローバル化していくのか、今後の世界についてはどう思われますか?

反グローバル化すると思いますね。してほしくないですけど。
コロナで強制的に行き来ができなくなったし、お互い1、2年行き来しないことによるインパクトもすごいと思うし、明けたあとも行き来しないことに慣れてしまいそうだし。

あと、アメリカ的なインターネットと中国的なインターネットが2つに分かれている感覚があって、使えるサービスやアプリも全然違うし、Googleで見つかるものと百度(バイドゥ)で見つかるものは全然違う。
20世紀はベルリンの壁やDMZ(非武装地帯)等、物理的な壁の話がよく起きていたんですけど、今度はそういうインターネットの壁を感じながら生きる数十年が来るんじゃないかと思っていて。

日本を見ていてもダイバーシティ(多様性)とか、フェミニズムとか、LGBTとか、自分の頭で本当に思っているのか心配というか、心の底から理解して提案しているように見えなくて。アメリカは移民国家だからダイバーシティが実際に大事ですが、日本は多民族の課題を本質的に分かっていない感がある。
世界的に反グローバルになっているし、日本もその素地はかなり持っていると思います。

――アーティストとしてはそこに対抗していくわけで、難しい時代ですが、チャレンジングでもありますよね。

そうですよね。みんないろいろなスタイルでつくっていると思うし。
私はだいぶ変わり者のアーティストで、《生理マシーン、タカシの場合》をYouTubeに載っけたときにも先生には「なんで美術館でなく、そんなところに作品を」って言われたし、今スタートアップをやっているのも「なんで、そんなところで作品を」って言われるのと似ているのかもしれません。



*¹ TED Talks......世界の各分野で活躍するスピーカーによるトークイベント。2019年に登壇したスプツニ子!さんのトークはTED Talksのウェブサイトで公開中。
https://www.ted.com/talks/hiromi_ozaki_how_i_bring_myth_and_magic_to_life
*² #MeToo......セクシャルハラスメント等の被害体験を告白・共有するフェミニズムのムーブメント。
*³ ブラック・ライブズ・マター......黒人が白人警官の暴行により死亡した事件に端を発する、黒人への暴力や人種差別の撤廃を訴える運動。
*⁴ 社会彫刻......現代美術家のヨーゼフ・ボイスが提唱した、社会のあらゆる活動が芸術活動であるという「拡張した芸術概念」の中で「創造力によって社会の形成に関与する行為」を指す。(参考:水戸芸術館現代美術センター編『ヨーゼフ・ボイス よみがえる革命』)
*⁵ 東京藝術大学作品展「アフターコロナのユートピア」http://design.geidai.ac.jp/news/2020-09-04-3536/

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スプツニ子! (すぷつにこ)
インペリアル・カレッジ・ロンドン数学科および情報工学科を卒業後、英国王立芸術学院(RCA)デザイン・インタラクションズ専攻修士課程を修了。RCA在学中より、テクノロジーによって変化していく人間の在り方や社会を反映させた映像インスタレーション作品を制作。最近の主な展覧会に、2019年「未来と芸術展」(森美術館)、「Cooper Hewitt デザイントリエンナーレ」(クーパーヒューイット、アメリカ)、「BROKEN NATURE」(第22回ミラノトリエンナーレ、イタリア)、2017年「JAPANORAMA」(ポンピドゥーセンターメス、フランス)、2016年「第3回瀬戸内国際芸術祭」(ベネッセアートサイト直島)、「Collecting Future Japan - Neo Nipponica」(ヴィクトリア&アルバート博物館、イギリス)など。2013年よりマサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボ 助教に就任しDesign Fiction Group を率いた。その後東京大学生産技術研究所特任准教授を経て、現職。
「VOGUE JAPAN ウーマンオブザイヤー2013」受賞。2014年 FORBES JAPAN 「未来を創る日本の女性10人」選出。2016年 第11回「ロレアル‐ユネスコ女性科学者 日本特別賞」受賞。2017年 世界経済フォーラム「ヤンググローバルリーダーズ」、2019年 TEDフェローに選出。著書に『はみだす力』。
公式ホームページ:https://sputniko.com/

2020年10月 オンラインにてインタビュー
インタビュー・文:寺江瞳(国際交流基金コミュニケーションセンター)
写真はすべて本人提供

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