雑誌『をちこち(遠近)』
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被災地とつながる生の声005 ピースウィンズ・ジャパン大西 健丞

災害支援における国際的な助け合いの重要性

大西 健丞
NGOピースウィンズ・ジャパン(PWJ)代表理事兼統括責任者
公益社団法人CIVIC FORCE代表理事


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避難所でラジオ体操をする被災者達 Photo by Mayumi Ishii


 

 東日本大震災から2カ月半が過ぎたが、被災地ではいまだに9千人近くの行方が分からず、避難生活を送る人も10万人以上にのぼる。仮設住宅の建設やがれきの撤去は遅々として進まず、福島第一原発の事故も収束には遠い。漁業や商店の再開など明るい話題もあるが、復興のスピードは阪神・淡路など過去の震災と比べても極端に遅いといわざるを得ない。

避難所での支援物資の配布.jpgのサムネール画像
 

 私が代表理事を務めている公益社団法人Civic Force(CF)NPO法人ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)は、避難所への大量の救援物資の提供など、震災直後から支援活動にあたってきた。私自身、何度も被災地に入ったが、初期の食料や物資の供給の遅れは特に深刻だった。かねてさまざまな場で指摘してきた、支援全体を戦略的にコーディネートする司令塔の不在を、痛切に感じた。一方でこの震災では、日本国内はもとより海外からもかつてない支援が寄せられた。私たちの活動の中でも、海外の団体との協働や、被災地の外国人を対象とした支援の例がいくつもある。 CFはいくつかの非営利団体と協力し、各団体の専門性を生かした「パートナー協働事業」を行っているが、その一つである難民支援協会(東京)は、日本に住む難民と日本人によるボランティアチームを編成し、被災地の汚泥の撤去作業や、難民の出身国料理の炊き出しを行っている。また、日ごろの活動のノウハウを生かし、多言語による生活情報の発信、ソーシャルワーカーや法律の専門家によるサポートなど、外国人被災者を支援する活動を続けている。こうした活動は、将来にわたって被災者の心に残り、相互理解を助けることにもつながるだろう。


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被災地でボランティアを続けるFood For Lifeのスタッフ Photo by Mayumi Ishii

気仙沼の被害の様子.JPG 

 PWJも米国の非営利団体と連携してさまざまな支援事業を展開している。たとえば以前から世界各地の活動で提携してきたMercy Corps(MC)とは、調査の段階から現場でチームを組み、子どもの心のケアや、地域の産業の復興サポートといった中・長期的な支援をしている。MCは米国内のドナーから集めた資金を数億円規模で提供してくれる予定だ。また、心のケアの事業では、大切な人との死別を体験した遺児や家族への支援で世界的に知られるThe Dougy Centerの協力を得ている。日本国内の大規模災害において、海外からの支援の受け入れは大きなテーマの一つと考えてきたが、一定の実績をつくることができた。
 今後、災害支援における国際的な助け合いの重要性はますます高まってくると思う。CFは、自然災害の多いアジア太平洋地域で、各国の民間企業、NGO、政府が連携するためのプラットフォームづくりに向けて準備を進めてきた。今回の震災を機に、そうした取り組みをさらに加速させたいと考えている。


国際協力NGO ピースウィンズ・ジャパンPeace Winds Japan

公益社団法人Civic Forceの東日本大震災支援



oonishi.jpg大西 健丞(おおにし けんすけ)

1967年、大阪市生まれ。上智大学文学部新聞学科卒業。英国ブラッドフォード大学平和研究学部国際政治・安全保障学修士課程修了。1996年ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)設立。イラク、アフガニスタンなど世界各地での支援活動に従事。2000年、NGO、政府、経済界の連携による国際人道支援組織ジャパン・プラットフォームの評議会議長、理事などを歴任。2008年PWJ代表理事兼統括責任者。2009年大規模災害の際の救援活動を目的とする公益社団法人Civic Force代表理事。2010年から政府の「新しい公共円卓会議」委員を務めた。著書「NGO、常在戦場」他


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