雑誌『をちこち(遠近)』
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インドで舞妓さんによるレクデモ開催 ~京舞と笑顔とおもてなし~

ニューデリー日本文化センター 山村 真智子



 ニューデリー日本文化センターでは、2014年2月22日~25日、ニューデリーとチェンナイにおいて舞妓さん2名と女将さんによるレククチャー&デモンストレーション「舞妓さんと学ぶ日本語」を開催しました。  インドでは近年、日系企業が多く進出し、日本や日本語学習に対する関心が高まりつつあります。当センターでも、2011年12月から一般市民を対象とした日本語講座を開講し、受講生が日本語の習得だけでなく、日本の文化や社会に対しても理解を深めることができるよう授業作りに取り組んでいます。そんな中、当センターの文化イベントに参加した人々や日本語学習者からは、生け花、茶道、着物や踊りなどの日本の伝統文化に直に接してみたいなどの意見が多く寄せられたため、和服を装い、日本舞踊や茶道など複数の伝統文化をまさに身を以って体現する舞妓さんをインドに招聘することで、インドの人々の期待に応えることができるのではないかと考え、舞妓さんによるレクデモを企画しました。


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しっとりした京舞にうっとり


等身大の舞妓さんを知りたい

 2月21日(金)の夜、日本髪を結い上げてインドに降り立った舞妓さん一行は、翌日からデリーでのレクデモに臨みました。翌土曜日は朝から早速、デリーから車で1時間ほど離れた郊外のグルガオンでレクデモを行い、午後には、ニューデリー国際図書展(会期:2014年2月15日~23日、於プラガティ・マイダン)で2回目のレクデモを行いました。
 会期中最後の週末ということで多くの人が訪れていた図書展で、舞妓さんは30分ほどかけて会場内を練り歩き、顔見せをしました。その後、会場内のオーディトリアムで開催したレクデモには多くの人が来場し、立ち見だけでなく、会場内に入ることができない人も発生しました(入れなかった方、申し訳なかったです)。舞妓さんが熱気に包まれた会場でしっとりした京舞「祇園小唄」や、扇も華やかな「松づくし」を披露すると、魅了された来場者からは拍手喝采が湧きおこりました。この他、京ことばの紹介も好評で、舞妓さんが笑顔で「おおきに」や「おこしやす」などの京ことばを紹介すると、会場の雰囲気も和らぎ、来場者も「おおきに」と応え返していました。

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京ことばの紹介も好評

 舞妓さんはブックフェアに出展していた国際交流基金のブースも訪れました。レクデモ会場からブースまで舞妓さんについてきた人々もいて、特に、日本語学習者は舞妓さんと一生懸命日本語で話していました。
 翌日曜日は、お昼時に図書展でのミニ・レクデモを行った後、当センターに移動し、デリーでは最後となる4回目のレクデモを行いました。ここでは、大人気の京舞に加え、茶道のお点前も披露しました。Q&Aセッションでは、例えば「髪型やお化粧をするのにどのくらいの時間がかかりますか?」「休みの日は何をしていますか?」「携帯電話はもっていますか?」「恋愛や結婚をしてもいいのですか?」「何歳までこの職業をつづけることができるのですか?」などの質問がでました。来場者たちは思い思いの質問をしていましたが、等身大の生身の人としての舞妓さんの姿を知りたいようでした。

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茶道のお手前を披露

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日本語で話しかける人も


ハプニングにも動じない「おもてなし」のプロ

 翌月曜日、デリーから飛行機で2時間半離れたチェンナイに移動し、在チェンナイ日本国総領事館との共催でレクデモを開催しました。チェンナイは、2013年12月、天皇皇后両陛下がご訪問した都市として日本との友好関係がさらに深まり、またインド国内においても目立って日本語学習者数が増加している南インドの中核都市です。チェンナイに到着したその晩に開催した、一般市民を対象としたレクデモには多くの人々が来場し、メディアからも多数取材がありました。
 インド滞在最終日の火曜日は、在チェンナイ日本総領事公邸内において、各国の外交団や南インドの各界のリーダーを対象としたレクデモを行いました。ところが、2曲目の京舞を披露している際、突然音響設備がダウンしてしまい、音楽が途中で途切れてしまうというハプニングが起こりました。どうしたものかとあせりましたが、一瞬の沈黙の後、説明役でもある女将さんが2曲目の途切れた部分から生声で歌いだし、ゆっくり歩きながらステージに出ていきました。すると踊っていた舞妓さんも一緒に歌い始め、歌いながら最後まで舞を披露しました。ハプニングにも動じず、瞬時に機転をきかせて歌をつなげながら舞を披露する舞妓さんと女将さんに、来場の方々、またスタッフ一同も感動し、大きな拍手がわきあがりました。最も心に残る、すばらしい歌と舞でした。

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お客様一人ひとりに「おもてなし」の心で接する舞妓さん

 実は、インドに到着してからチェンナイでの最終レクデモが終わるまで約5日間、舞妓さんはずっと日本髪をほどくことなく、就寝の際も高枕で休んでいました。緊張を要するレクデモが続いた上、長時間の移動もあったのですが、いつも笑顔でレクデモをきっちりこなし、また舞妓さんと一緒に写真撮影を希望する人々の長蛇の列が毎回できても、最後の1人にまで丁寧に応じ、「おもてなし」のプロとしてインドでのレクデモを立派に完遂しました。
 チェンナイで夕刻、ようやく舞妓さんは髪をほどき、お化粧もすべて落として、少しの時間チェンナイ市内を巡りました。お土産を選んだり、車窓からチェンナイの街並みや海を見たり。短いようで長かったインドでのレクデモを無事に終え、束の間の休息を楽しまれていました。
 今回、舞妓さんを通じ、インドの方々の日本の伝統文化に対する関心や理解が深まり、また日本のおもてなしの気持ちが少しでも伝わっていればと思います。

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