03『HAND SOAP』 その② メイキング映像で説明します!

大山慶



ものを超近距離で見るのが好きです。
人体であれば、毛穴が見えるくらいの距離。人間の眼球がとらえることのできるギリギリの至近距離......。

keioyama03_01.jpg そのくらいまで近づくと、たとえどんな美少女であろうとも、グロテスクな(時にとても美しい)皮膚の質感が現れます。「ささくれ」や「かさぶた」「ニキビ」「フキデモノ」はたえず形を変え、すぐに消えてしまうものなので、特に僕の興味を惹きつけます。

keioyama03_02.jpg 前回、紹介したように、『HAND SOAP』は接写した写真をコラージュして作っています。通常、アニメーションでは線画で動画を描いたあと、絵の具やパステル、パソコンのバケツツールなどによって色を塗りますが、『HAND SOAP』では、色を塗る代わりに写真を貼り付け、そこに陰影を加えることで1コマ1コマを描いているのです。

言葉で説明してもなかなか伝わりづらいと思うので、さっそくメイキング映像を観ていただこうと思います。


「Making of HAND SOAP」

ご覧いただいたように、最初に描くガイドとなる線画も(作画前のイメージスケッチすら)パソコン上で描いているため、ペーパーレスのフルデジタル作品となっています。イマドキ!

画面左にちらっと写ってしまっているのは、テレビです。制作に集中している期間は、観ても観なくても差し支えなさそうなB級ハリウッド映画やお笑いのDVD、バラエティ番組を流しっぱなしにしていることが多いです。

keioyama03_03.jpg メイキング映像でも解説している通り、実際に描写する部分と同じパーツの写真を使っているとは限りません。男の子の唇には男性器の写真を、ハンドソープの白い液体には精液の写真を使ったりしています。わざわざ言わなければ(言ったとしても)わからないようには作っているのですが、それでも「そこに何かが宿れば良いな」と思い、そういう遊びをしています。

keioyama03_04.jpg かさぶたの写真は以前からのストックを使いました。大抵の写真は必要になってからでも撮影できるのですが、かさぶたは、すぐに見つけることや作りだすことが困難なため、この技法を考えついた頃から撮りためていたのです。


いかがでしたでしょうか『Making of HAND SOAP』。アルバイトに来てくれている大学生にこの原稿を読んでもらったところ、「本気で気持ち悪いから書き方考えた方がいいですよ」とアドバイスされたため、だいぶ柔らかくはしたつもりです。それでもやはり気持ちが悪いと思われた方もいるかもしれません。

しかし、わかっていただきたいのは、何も僕が気持ち悪い人間なのではなく、気持ち悪い「思春期」を表現するために、そういう手法を選んだに過ぎないのだということです。 お願いですから、どうか嫌いにならないで下さい。

それではまた次回。





keioyama00.jpg 大山 慶(おおやま けい)
アニメーション作家 1978年東京都生まれ
2005年、東京造形大学の卒業制作『診察室』が学生CGコンテスト最優秀賞、BACA-JA最優秀賞などを受賞。カンヌ国際映画祭監督週間をはじめ、海外の映画祭に正式招待される。'08年には愛知芸術センターオリジナル作品として『HAND SOAP』を制作。オランダアニメーション映画祭グランプリや広島国際アニメーション映画祭優秀賞など多数の受賞を果たす。映画『私は猫ストーカー』('08)、『ゲゲゲの女房』('10)ではアニメーションパートを担当した。現在、自ら設立に加わったCALFに在籍し、制作、配給、販売など幅広くアニメーションに携わりながら、新作『放課後』を制作中。

公式サイト : http://www.keioyama.com/
CALF : http://calf.jp/
CALF STUDIO : http://calf.jp/studio/




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